南米の西部に位置するペルーからアンデス山脈の高地をどこまでも走り、ボリビアへ。空中都市マチュピチュと天空の湖ウユニ塩湖という世界の二大絶景を巡りつつスーパーフードのルーツを探り、アンデスの豊かな食文化に触れる旅です。
海と砂漠と山脈とジャングルという多種多様な気候帯が混在するたぐいまれな環境が生んだスーパーフード。なかには、まだ日本に紹介されていないものもたくさんありました。
毎年1月中旬から3月中旬にかけて訪れる雨季のウユニ塩湖は、大地が空を鏡のように映し出します。ジープで走っていても、まるで天空を飛ぶ宇宙船に乗っているような気持ちになります
ペルーとボリビアで栽培されている代表的なスーパーフード。
右上から時計回りに、美肌と美白効果のあるグラナディーヤ、抗酸化物質とアミノ酸が発見されたアンデス原産のじゃがいも、コレステロールを下げる働きのある紫とうもろこし、100g中ビタミンCを3000㎎も含むカムカム、インカの黄金の粒と呼ばれるキヌア、滋養強壮サプリの原料として有名なマカ、そして抗酸化力の強いファイトケミカルをたくさん含んだカカオ
驚異の農産物を生み出す
多種多彩な自然環境
インカ時代につくられた街、アレキパ郊外の畑。アンデス山脈を背景にキヌア、じゃがいも、とうもろこしなどの畑が延々と続きます。
2000年代からアメリカで大ブームとなっている南米発スーパーフードが、日本に上陸してから数年。数々のレシピ本が出版されるようになり、フランス料理や日本食、ファストフードのレストランにいたるまで取り入れるようになってきました。では、スーパーフードとはいったいどういうものなのでしょうか? 日本スーパーフード協会の定義にはこうあります。
・栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
・一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途を併せ持つ。
なぜ、そのような栄養価に優れた農産物が南米に偏って多く産出されているのか、どのような所で栽培され、どのように食生活に生かされているのか。スーパーフード探索の旅はペルーの首都、リマから始まりました。
通り沿いに鉄の門が延々と続く住宅街は治安がよくなかった時代を物語っていますが、市場は活況を呈しています。どこの市場でも圧巻は、いも類の種類の豊富さ。アンデスを原産とするじゃがいもは、4000種類を超え、そのうちおよそ2000種類が流通しているそうです。
そのほかにも30種類を超える唐辛子や、ペルー原産のトマト、とうもろこしは、もはや何種類あるかわからないほど。ペルーからもたらされ、世界で栽培されている食材は、まだほんの一部にすぎないことがよくわかります。
何種類ものじゃがいも。ペルーでは作る料理によってじゃがいもを厳密に使い分けるのが当たり前。
グラナディーヤ。誕生日の贈り物になるほど珍重されている果物
次回はスーパーフードが神の恵みと呼ばれる理由をご紹介します。
撮影/たかせ藍沙 秋田大輔
イラスト/かくたりかこ
取材・原文/井原美紀
ペルー取材協力/Kentos Network Co., Ltd.
写真協力/ラティーナ〈マカ〉