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脳内たんぱく質がパフォーマンスを上げる!

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし こんにちは、すっかりご無沙汰してしまいました。ぐうたらライターいしまるこです。でもこれには理由が!なんと根来先生の最新刊『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』が発売になったんです。タイトルをクリックすれば試し読みもできますよ!

 

根来 こんにちは、根来秀行です。よくぞ言ってくれました、いしまるこさん!今回のテーマは「細胞呼吸」です。おもしろく読んでいただけるよう、授業形式で解説しました。

 

いし さて、連載していた「視床下部を鍛える根来式脳トレ」もいよいよ大詰め。おかげで、視床下部の働きがよくなった気がしていますよ。引き続き、根来教授のレッスンをお届けします!

 

根来 前回前々回は眠り方でしたが、今回は、睡眠と同じように、視床下部に重要な影響を与える食事についてレクチャーしていきます。

 

いし 視床下部を鍛える食べ方、ぜひ知りたいです!

 

根来 では、視床下部で作られる脳内タンパク質のオレキシンを促して、日中のパフォーマンスを上げる食事の仕方についてお話しします。

 

いし オレキシンですか?

 

根来 はい。オレキシンはニューロン(神経細胞)から別のニューロンへと情報を伝える神経伝達物質の一種で、視床下部の覚醒中枢や摂食中枢を活性化する働きがあるんですよ。

 

いし 眠りと食の両方にかかわるたんぱく質なんですね。

 

根来 日中に食欲が出て元気に活動していられるのも、オレキシンが安定的に供給されて覚醒状態を維持できるからです。
オレキシンが不足すると睡眠と覚醒のバランスが崩れて、「ナルコプレシー」になります。

 

いし ナルコプレシーって、過眠症ですよね?

 

根来 はい。突然覚醒から睡眠へとスイッチが切り替わり、昼間耐えがたい眠気に襲われて眠り込んでしまう、睡眠障害のひとつです。

 

いし ああ、それは大変。

 

根来 そうなんですよ。ところで視床下部には食欲中枢もあり、食事によって体内時計を調整する働きがあるのですが、オレキシンはこの腹時計の時刻調整にもかかわっているんです。

 

いし ふむふむ。

 

根来 毎日食事の時間を一定にすることで、決まった時間にオレキシンが分泌されて空腹になり、脳の中で食事の時間が刻まれ、体内時計が整っていきます。

 

Dr.negoro_ill

 

いし 決まった時間に3食規則正しく味わって食べる。

 

根来 オレキシンの分泌は強い動機に基づいた行動によって活発になります。適当な時間に漫然と食べるのではなく、決まった時間においしさをよく味わいながら食べる習慣をつけると、食事に対する期待感が増して、視床下部からのオレキシンの分泌がよくなります。

Dr.negoro_ill

 

根来 また、オレキシンは覚醒時に活性化され、睡眠時には抑制されます。夜、食事したあとすぐに寝ると、オレキシンが活性化されず、結果、筋肉での糖の利用が抑制され、脂肪がつきやすくなりますよ。

 

いし 寝る前に食べると太るのはオレキシンが関係していたんですね。

 

根来 はい。それに加え、夜は朝までの飢餓状態に備えて脂肪合成にかかわる〝肥満タンパク〟が増えるので、夕食は21時までに済ませるのが賢明です。

 

いし 気をつけます!

 

根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!

Dr.negoro_photo

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

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