OurAge世代になって股関節に痛みが続くような場合は、
重大な病気が隠れていないかを確認することが大切です。
もし痛みを感じたときは、どうしたらいいのか?
OurAge世代に多い股関節トラブルとは?
股関節に特に詳しい内田先生にお話を伺いました。
「痛みには必ずと言っていいほど原因があります。
何も異常がないのに痛いわけがない。
痛みが続いたら、マッサージや整体に行く前に、
近所でよいので整形外科を受診してみてください。
それでも原因がわからなければ、専門医に診てもらいましょう」
シンプルでわかりやすいアドバイスをするのは、
股関節痛に対する関節鏡手術を積極的に手がける内田宗志先生。
先生のもとには、他院の検査で異常がないと言われたのに、
痛みが続く患者さんがたくさん訪れます。
その多くは股関節唇(しん)損傷、
およびその原因でもあるFAI(股関節インピンジメント)と診断されるそう。
そして運動療法、または小さな傷ですむ関節鏡手術を受け、痛みから解放されています。
「股関節唇損傷やFAIは、日本でもだいぶ浸透してきた病態です。
ただ、股関節は奥まった場所にあるので、
画像には写らないことが多い。
わずか1㎝の股関節唇の損傷でも、ものすごく痛かったりするんですよ。
画像上で異常がないからと、痛みを放っておいては、
さらに悪化させてしまうことになりかねません。
もっとも、臼蓋形成不全や初期の変形性股関節症と診断された場合も、
ただ安静にしているだけではどんどん悪くなります。
40代以降ならなおさらNG。
すぐに手術が必要な場合を除き、
股関節の痛みには、理学療法によるアプローチが大切。
まずは筋肉を鍛える運動療法ですね」
中村格子先生の「まわりの筋肉を鍛えて股関節を若く保つ」アドバイスが
ここでつながりました!
とはいえ、かかった医療機関で理学療法をすすめてもらえないときはどうしたら…?
「股関節の運動療法・保存療法に理解のある医療機関、
もしくはその効果を知る整形外科医に運よく巡り合えればいいですね。
わからなければ、股関節鏡手術を手がけている
医師を訪ねるのがいいと思います、私のような!」
整形外科、整骨院、整体…
違いを知って正しく利用
股関節に痛みがあったら、必ず一度は医療機関を受診します。
医療行為(検査・注射・投薬など)のできる医師がいるのは
「整形外科」と「ペインクリニック」。
医師ではないが医業類似行為として法的免許を持つのは
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師(整骨院・接骨院)。
整骨院と接骨院は同じで、捻挫や骨折など急性外傷の治療が可能。
カイロプラクティック、整体などは、
法に基づかない医業類似行為のため、
エステなどのような感覚です。
股関節の診断には、画像検査が必須
奥まった場所にある股関節は、診断がとても難しいもの。
原因や症状を正しく知るためには、医療機関での画像検査が必要です。
病態によって検査方法が違ってきます。
CT
放射線を用いたコンピューター断層撮影。関節内を観察するときに
エコー(超音波)
超音波を使った簡単な検査。特に筋肉の様子を見る際に使用
MRI
磁気共鳴現象を利用したもので、関節外まで細かく観察するときに
レントゲン(X線)
放射線を使って、手軽に骨の形状を見ることができるもの
次回は、40代以降に多い股関節トラブルについてです。
撮影/小山志麻 矢部ひとみ イラスト/かくたりかこ
構成・原文/蓮見則子