先が細くすぼまった細長い楕円形が特徴的な、
チコリ。
ニューヨークでは通常、「Belgian Endive」の名前で売られています。パリパリとした食感、そして味は「菊苦菜」という和名が示すようにやや苦みがあることが特徴です。比較的多く含んでいる栄養素はカリウム。カリウムは血圧を下げ、むくみを改善し、代謝を向上し、筋肉の働きをよくする効能があります。大根やニンジン、カブなどは根っこの部分より葉っぱの方が栄養価が高いのですが、チコリは根っこに水溶性食物繊維のイヌリンを多く含んでいます。店頭では残念ながら根っこつきが売られているのを見たことがないのですが、根はローストしてチコリコーヒーにするのだとか。ご興味のある方は、市販のチコリコーヒーや、チコリ由来のサプリメントなどを利用してみるのもいいかもしれません。
光を遮断して「軟白」させてつくるチコリ。淡い色合いが上品です
葉先が薄い黄色や黄緑色のものが一般的ですが、お店によっては赤紫色のものも売られています。私は、舟形の葉っぱを生かしてフィンガーフードをつくることが多いです。お洒落に仕上げられることに加え、合わせる具によって苦みを抑えたり栄養を加えたりできるのが嬉しいですね。特にパーティーなど、おもてなしの場で華やかさを演出してくれるチコリ。今からが旬ということで、上手に使ってひと味違う野菜料理を楽しみましょう。
紫いろのチコリもよく見かけます。どちらの色も彩りになり、ほろ苦さもさわやか
舟形を生かしたフィンガーフードの具は、のせやすくて食べやすいものなら何でもOK。自由な発想で楽しみましょう。色も同系色でまとめてもきれいですが、クリスマスシーズンはやはりちょっと華やかで、赤と緑が入っている配色にしたくなるもの。こちらはスモークサーモンにキュウリ、ザクロを入れて、最後にパセリの葉っぱをちょっと飾りました。食べる直前にスモークサーモンにレモン汁を少しかけて生臭みを抑えています。ザクロが手に入らなかったら、赤ピーマンやミニトマトを小さく刻んで入れてもいいと思います。
葉っぱをむいて、のせるだけ。でも洒落た雰囲気になるうえ、美味しくて食べやすい
チコリを縦半分に切ってローストしても、お洒落な1品ができます。切った後、手で葉っぱを少し広げるようにします。たいがい、真ん中あたりを少し押し広げることができます。そこに塩、オリーブオイル、パルメザンチーズ、フードプロセッサーで砕いたピスタチオを入れ、表面にも塩をふり、オリーブオイルを塗り、パルメザンチーズ、ピスタチオをふりかけて、最後に黒コショウをちょっとだけふります。175度に熱したオーブンで10分焼いて出来上がり。そのくらい焼くと苦みがやわらげられ、葉っぱも柔らかく、かつしっかりした食感を残すように仕上がります。
ぐっと大人の雰囲気になる一皿。ピスタチオを砕くくらいでほとんど手間いらずなのも嬉しい
ニューヨークのレストランでチコリのサラダを頼んだ時、こんな感じのが出てきました。赤いチコリ以外はグレープフルーツとビーツ、胡桃が入っていました。ビーツはサイコロ状に切って、柔らかくなるまでスチームしてあります。ここではオレンジビーツを使いましたが、もちろん赤いビーツで同系色でまとめてもきれい。レストランではおろしたてのパルメザンチーズも入っていたのですが、それを入れなければビーガンのサラダになります。ドレッシングはオリーブオイル、白ワインビネガー、塩、黒胡椒を使いました。甘みと酸味のあるグレープフルーツ、甘みのあるビーツが入っているせいか、あまりチコリの苦みを感じずに食べられるサラダです。よろしければお試しくださいね。