リンパの出口がある鎖骨まわりを柔軟に!
朝起きると顔がむくんでいる、年齢とともに顔のたるみが気になる…。それはリンパの滞りが大きな原因。
「全身に張り巡らされたリンパは、体の末端にある毛細リンパ管から太いリンパ管に集められ、最終的に静脈に流れ込みます。その大きなリンパの出口は鎖骨のくぼみの部分『鎖骨リンパ節』にあります。つまり全身から集められた老廃物はここから排出されるわけです。
ですから、顔のむくみは顔だけをマッサージしても解決しません。まずは出口部分のこりを解消して、流れる道をつくってあげることが重要です。
よく『リンパを流す』という言い方をしますが、本来の『リンパが流れる体の土台をつくる』ことが重要です」(木村友泉さん)
※リンパの役割やシステムについては第1回参照。
「特にパソコン操作や家事など、日常的に前かがみの姿勢を長時間続ける人などは、鎖骨まわりの筋肉が硬直して、触ると痛みを感じるはずです。そんな人はたいていが、背中側の肩甲骨まわりの筋肉もこり固まって、慢性的な肩こり・首こりを感じている人が多いですね」
ストレッチで胸と肩甲骨の柔軟性を取り戻す
これらを解消するには、胸を大きく開いて、肩甲骨を動かすことが大切です。肩甲骨は腕の骨の動きと連動しているので、両腕をしっかりと動かすといいでしょう。これを同時に効率よくできるのが次のストレッチです。
【1】
1.5~2ℓ(直径8~10㎝程度)の筒状のペットボトルを大きめのタオルにくるんだものを用意します。
※もしくは同じくらいのサイズのストレッチ用ポールがあればベスト。ペットボトルを使用する場合は、必ず中身がいっぱいに入っている状態で、強度があることを確認してください。
【2】
ペットボトルは底が頭の方向になるように置き、その上に横になります。このとき、底の角が頭蓋骨の付け根に当たること、背骨がペットボトルの真上にくるよう横になるのがポイントです。
【これはNG】
ペットボトルに頭が乗ってしまってはダメです。
【3】
ペットボトルの上に乗ったまま、首から足先まで真っすぐに伸ばします。胸と骨盤、両脚を左右に揺らして、両手・腕もフルフルと振って、全身の力を抜いて準備します。
【4】
息をゆっくり吸いながら、両手のひらを太ももの上あたりで合わせます。
【5】
引き続き息を吸いながら、両手をお腹のところまで上げます。
【6】
さらに息を吸いながら、手先を上に向けます。
【7】
次いで息を吐きながら、両腕を頭の上のほうに伸ばします。この状態で2秒キープ。
【8】
息を吸いながら、両腕を左右に開いて、肩の高さまで動かします。
【9】
息を吐きながら、手のひらを上にして両腕を体の横まで下ろします。【4】に戻り、【5】~【9】の動作を2~3回繰り返します。
【POINT】
胸が気持ちよく開いて、肩甲骨がしっかり動いているのを感じながら行います。ゆっくり呼吸と連動させることで、より体が脱力して、体を隅々までほぐすことができます。
こうして鎖骨と肩甲骨まわりの筋肉を緩めることで、顔や全身の老廃物が集まる鎖骨リンパ節が活性化します。特に第2回の横隔膜を緩めるメソッドとセットで行うのがおすすめです。
リンパが流れる体を取り戻すためには、まずはこり固まった筋肉や関節、筋膜を緩めることから始め、その上で筋育を行うとより効果が高まります。過去の回も合わせてチェック!
※横隔膜を緩める方法は第2回、股関節を緩める方法は第3回、体幹を鍛える方法は第4回、筋膜を緩める方法は第5回を参照。
【教えていただいた方】
LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子