あごを動かす咀嚼筋を緩めるのがカギ
「顔には表情をつくる表情筋と、食べ物を嚙んだり話したりするときに使う咀嚼(そしゃく)筋があります。特に咀嚼筋はよく動かすので、疲れがたまって硬くなりがちです。するとリンパの流れが悪くなってたまり、むくみやシワ、たるみの原因になります。
まずは、顔のリンパが最終的に流れ込む、鎖骨リンパ節まわりと肩甲骨まわりの筋肉を緩めて、リンパの流れる道をつくってあげることが重要です。※詳しくは第7回参照。
次に行いたいのが咀嚼筋をはじめとした、こわばった顔の筋肉を緩めることです。そして筋肉の柔軟性を高めたうえで、あごの下にあるリンパ節を刺激します。
よく『リンパを流す』と言いますが、重要なのは『リンパが流れる土台を整える』ことです。そうするとリンパは自然に流れ出します」(木村友泉さん)
※リンパの仕組みの詳しくは第1回参照。
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「咀嚼筋の中でも、咬筋と側頭筋が重要です。咬筋は歯を嚙みしめたときに、頰が軽く盛り上がるところ、側頭筋はこめかみの硬くなるところです。
自分でも気づかないうちに嚙みしめる癖のある人、寝ているときに歯ぎしりをしている人はとても多いもの。この部分を1日1回緩めて、疲れと筋肉のこりを取る習慣をつけましょう」
それには次の3ステップが効果的!
STEP 1 頰揺らし
【1】
両手のひらの母指球(親指の付け根の盛り上がっているところ)を左右のあごの下に当て、親指はエラの裏に当て、ほかの4本の指は優しく包み込むように頰に添えます。
【2】
少し上のほうを向き、頰の力を抜いて、手のひらを小さく前後に動かして震わせます。大きく揺らすのではなく、ごく細かく震わせて微振動を与えるのがポイントです。これを4~5秒行います。
こうして硬直している頰の筋肉を緩めます。
STEP 2 口元ストレッチ
【1】
手を止めて、「あー」と声を出しながら、口を上下左右にできるだけ大きく開けます。
【2】
次に「おー」と言いながら、鼻の下をしっかり伸ばして上下に大きく開けます。「あー」と「おー」を交互に3~4回繰り返します。
口を大きく開けることで、普段、嚙みしめることなどで硬直した、咬筋や側頭筋、口まわりの筋肉を緩めることができます。
STEP 3 あご下プッシュ
【1】
続いて、あごの下のリンパ節を刺激してリンパの流れを促します。斜め上を向き、左右の親指の腹をそろえ、ほかの指は曲げます。親指の腹であごの骨の内側をキュッと押し込んだら2秒キープして離します。
【2】
あごの下はリンパ節が集中しているところ。あご下プッシュを顔の中心部から耳の下に向かって、少しずつ位置をずらしながら8カ所くらい行います。気持ちいい圧で押すのがポイントです。
【3】
4指の腹を使って、目の下から耳に向けて、鼻の横から耳に向けて、口角の横から耳に向けての3ラインをなで、最後に耳の下から首に向けてなで下ろします。いつくしむように優しく行います。
【1】から【3】を反対側の顔にも同様に。ゆっくり長い呼吸をしながら行うことで、より効果が高まります。
【おもな効果】
- 顔のたるみ、二重あごの改善
- フェイスラインの引き締め、小顔効果
- シワ、特にほうれい線の改善
- 首こりの改善
- ドライマウス、嚥下(えんげ)トラブルの予防
- 目の下のくまの改善
「体は顔から足先までつながっています。むくみを感じる部分だけにアプローチしても解決しません。全身のリンパが流れる道、土台を整えることが何より重要です。そうすれば、リンパは勝手に流れ出します。
全身のリンパケアを行うことで、見た目の若返りだけでなく、更年期世代のさまざまな不調の軽減、健康アップ、将来の健康寿命を延ばすことにも役立ちます」
【教えていただいた方】
LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子