「手が痛い」「手指が痛い」とちょっとした動作もつらくなる…。
日常の中で自分で痛みをやわらげる方法を知りたい!
40代、50代の更年期世代になると、手や指の不調や痛みを訴える人が増えてきます。
朝、起きたときに手指がこわばっている、手や指がしびれることがある、といった不調から、手指の関節が時々痛む、ものをつかむ、つまむときに痛くなる、字を書くとき、ビンやフタを開けるときに痛い、スマホやパソコンを使っていると手や指が痛くなる、etc.
手や指に違和感や痛みを感じたら、整形外科などの病院で診てもらうのが第一ですが、普段の生活のなかでも、気になったときに自分でケアできる方法を知っていると安心です。
毎日よく使う手や指。痛みが出ると、ちょっとした動作もつらくなってしまうもの。
自分で行うなら、どんなケア法が効果的なのでしょう?
Satoshi先生に、自分でできる「手や指の痛み」のケア法を教えていただきました
Satoshi先生は、大阪を拠点に自身のサロンを経営し、別会社のマネージャーを兼任するなど精力的に活動。
東洋医学・西洋医学の理論をもとにした、さまざまな体メンテナンスの方法に精通した、人気インストラクターの先生です。
OurAgeの「五臓ヨガ」連載の先生としてもおなじみ。
経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導くという、東洋医学をもとにした「五臓ヨガ」の考案者としての知識。
鍼(はり)や灸(きゅう)でツボを効果的に刺激して、痛みや筋肉の緊張を緩和したり、血流をよくしたりして、体の不調を改善する鍼灸師としての視点。
体の中のさまざまな筋肉を意識して動かすことで、不調を整え、筋力の向上を目指す、筋力トレーニング、ストレッチのインストラクター・トレーナーとしての経験。
さまざまなメソッドの施術や指導で、多くの人を健康に導いてきたSatoshi先生が、豊富に持つノウハウの中から、私たちの不調に合わせた最適なエクササイズを教えてくれます。
今回は、誰でも手軽にできる方法を教えていただきましたが、その中でも難易度によって選べるよう、【初級編】と【中級編】に分けて、おすすめのケア法を紹介します。
■セルフコンディショニング その1/初級編
「手や指の痛み」には「手と指を伸ばすストレッチ」。
「手のひら~指の根元」の筋肉をほぐすと効果的!
「初級編」は、「手と指のストレッチ」です。
この動きで、「手のひら~指の根元」にある筋肉全般を丁寧にほぐすことが、手や指の痛みの予防、緩和につながります。
簡単な動きなので、覚えておいて、いつでもできるときに取り入れてみてください。
朝、昼、夜、いつ行ってもOKですが、特におすすめなのは、夜や入浴中で、一日の手や指の疲れを取ることが大切だそう。
これから紹介する動きを行って痛みを感じる場合は、痛みを感じない程度に、無理のない範囲で行いましょう。
●「手のひら~指の根元」の筋肉全般に働きかける!
手のひら全体と各指の根元には、さまざまな筋肉があります。
手や指の複雑な動きにかかわっています。
【1】
最初に、手のひらを上に向けます。
【2】
まずは、【指を握る】動きを行います。
指を1本ずつ、根元から指先まで、もう片方の手で包み込むように握ります。
小指→薬指→中指→人差し指→親指の順に行いましょう。
親指まで行ったら、次は逆方向に、親指→人差し指→中指→薬指→小指の順に、同様に1本ずつ握っていきます。これで1往復。
指1本につき、握る時間は3秒程度。
これを2往復行ったら、反対側の手の指も同様に行います。
【3】
続いて、【指を反らす】動きを行います。
指を1本ずつ、【2】の動きのときのように握り、手のひらに対して、90度下に向けるつもりで、ゆっくり反らします。
手のひらに対し90度下を向くように反るのが理想ですが、指がそこまで反らないという人は、無理のない、できるところまで行えばOK。
小指→薬指→中指→人差し指→親指の順に行いましょう。
親指まで行ったら、再度、小指→薬指→中指→人差し指→親指の順に行います。
この2回で1セット。
指1本につき、反らす時間は5秒程度。
これを1セット行ったら、反対側の手の指も同様に行います。
【指を反らすときのポイント】
【3】の指を反らす動きのときは、呼吸しながら1本の指を握って反らすようにすると◎。
息を吸いながら、指を握る→息を吐きながら、指をゆっくり反らす。これを繰り返します。
このように呼吸しながら行いましょう。
【3】の2回目を行うときは、1回目のときよりも、少し強めに力を加えてOK。
●親指を反らすときのコツ
【3】で親指を反らすときは、もう片方の手で握り、少し引っ張りながら反らすようにすると効果的です。
●これはNG!
指先だけを持って指を反らすと、脱臼などケガの原因になる可能性が。
根元から指先まで、指全体を包み込むように握って、優しくゆっくり行いましょう。
■セルフコンディショニング その2/中級編
「手や指の痛み」には、「手の甲の4つのツボ」を押して刺激すると、さらに効果的!
中級編は、「手の甲」のツボ押しです。
初級編の「手のひらの筋肉」をほぐす動きを行ったあと、余裕がある人は、「手の甲」の筋肉をほぐしましょう。
甲の骨の間にあるツボを刺激することで、手全体の筋肉が緩むだけでなく、各ツボの効果も期待できます。
こちらも特にNGの時間帯はないので、いつでもできるときに取り入れてみてください。
●「手の甲」のツボを刺激する!
① 合谷(ごうこく)
親指と人差し指の骨が交わるあたり、人差し指の骨のきわにあるツボ。
肩こり、眼精疲労、胃腸の調整などに効果があるとされる、万能ツボ。
手のしびれや痛みにも効果があります。
② 落枕(らくちん)
人差し指と中指の骨の間にあるツボ。
首こり、寝違えなどの緩和に効果的。
手の痛みにも効果があります。
③・④ 腰腿点(ようたいてん)
③は、人差し指と中指の骨が交わる場所の、少し上のくぼんだところにあるツボ。
④は、薬指と小指の骨が交わる場所の、少し上のくぼんだところにあるツボ。
③と④は、腰痛やぎっくり腰の緩和に効果的。手の痛みにも効果があります。
●ツボの押し方
ツボを、“イタ気持ちいい”と感じる程度の力加減で、指の先でジワーっと15秒~30秒押し続けます。
人差し指か親指で行います。
消しゴム付きエンピツの、柔らかい消しゴム部分などで押してもOK。
時間に余裕があれば、これをひとつのツボにつき1~5回くらい行うと、より効果的。
【ポイント】ツボ押しを行っている間は、呼吸を止めないようにしましょう。
【1】
①の「合谷」、②の「落枕」、③と④の「腰腿点」のツボを、ひとつずつ人差し指か親指の先で押します。
上は②の「落枕」を押しているところ。
【2】
③の「腰腿点」を押しているところ。
上記の手順で①~④の4つのツボを押したら、反対側の手も同様に、①~④の4つのツボを押します。
【終わりに】
いかがでしたか?
【初級編】の手のひらや指の根元にある筋肉全般を、ストレッチで伸ばして緩める方法は、いつでもどこでもできる手軽な方法です。
複雑で難しい動きも必要なく簡単なので、とても取り入れやすいですよね!
【中級編】のツボ押しは、手の甲にあるツボを押して刺激することで、経絡が整うため、気血の巡りがよくなり、手や指の痛みや違和感などを緩和することにつながります。
どちらかひとつだけでも、両方でも、気になったときに実践してみましょう!
【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美