小さな筋肉が集まる手のひらは綿棒でほぐす
物を持ったり、スマホやパソコンの操作、料理や手芸をするときも手を器用に使っています。そんなときに活躍しているのが、手のひらにある筋肉です。
「手のひらには小さな筋肉がたくさん集まっていて、それらが上手に連携することで指が動きます。そのため、日中酷使している手は夜にはかなり疲れています。
手に痛みが出る多くの原因は手の使いすぎです。もしくは偏った部分に負担がかかる手の使い方をしているせい(※1)。手の痛みは日々の生活にも影響を与えます。そうならないためにまず行いたいのが、一日の疲労をその日のうちにしっかり取ることです。
※1:手に負担のかからない方法は第6回参照
そこでおすすめしたいのが綿棒を使った手のひらと指と指の間のマッサージです。手のひらの筋肉は小さく、筋肉同士が微妙に重なったりしているので、指先で圧するよりも、綿棒のほうがピンポイントで押せて効果的です」(市野さおりさん)
【綿棒プッシュ】
1 手のひらに綿棒を当て、上下に小さく動かして刺激します。これを手のひらにまんべんなく行います。
2 続いて、指と指の間を刺激します。親指と人差し指の間、人差し指と中指の間というように、各指の間を綿棒で軽く押していきます。左右の手を同様に行います。
「綿棒の動きは一例で、手のひらをまんべんなく刺激できればどのように行ってもかまいません。例えば、左右に小さく動かしたり、手のひらの中央に小さく円を描き、グルグルとだんだん大きくして、最後は手のひらに大きな円を描くなど、痛気持ちよく感じる方法や圧で押すことが大切です。
少し痛く感じるところがあったら、そこが疲れをためている部分なので、集中的に何度か刺激してほぐしてあげるといいでしょう。
また、指の間は鎖骨の反射区(※2)。手を使う作業をしているときは、とかく背中が丸まり鎖骨が縮まりがちで(いわゆる猫背)、鎖骨まわりがこり固まりリンパや血液の流れが悪くなっています。指の間を刺激することで、鎖骨のこりを緩める効果もあり、これにより、手への血流が高まり、手の疲労が軽減します」
※2:手や足裏などは全身の部位や臓器が反射投影されているという考え。リフレクソロジーとも呼ばれ、手足をケアすることで、そことつながる離れた部位や臓器もケアできるといわれています。
(手の反射区について、詳しくはコチラ)
指先の刺激で目や耳も元気に!
「最後に、各指の爪を両サイドからつまんでいきます。指先への刺激は手だけでなく、全身の血流を高めることができます。
また指先は目、耳、鼻の反射区。例えば、人差し指は眼球と関係があるので疲れ目に、中指は視神経と関係があるのでかすみ目に、薬指は耳の平衡感覚と関係があるのでめまいや寝不足、小指は聴力と関係があるので耳鳴り、親指は鼻と関係があるので花粉症などの解消にも役立ちます」
【指先つまみ】
1 手の指先、爪の両サイドをつまんで、くりくりっと指先を振るようにして刺激します。これを5本の指すべてに行います。左右の手を同様に。
「普段あまり意識していないようなところを、どんどん触っていくことが大切です。自覚している以上に、手が疲れていることに気づくと思います」
【教えていただいた方】
自衛隊中央病院勤務後リフレクソロジーやアロマセラピーの資格を生かし、統合医療ナースとして活躍。その後、「コンフィアンサせき鍼灸院」でボディケアを行いながら、足や手を通したセルフケアを提案。著書に『不調と美容のからだ地図』(日経BP)、『若返る頭さすり:顔が引き上がる! 目が大きくなる!』(Gakken 美人力PLUSシリーズ)など多数。
イラスト/green K 取材・文/山村浩子