【教えていただいた方】

はやし・たくみ●医師。1966年、北海道札幌市生まれ 。札幌医科大学卒業。札幌医科大学附属病院では更年期専門外来を担当。斗南病院、函館五稜郭病院、NTT東日本札幌病院を経て、2009年「はやしたくみ女性クリニック」を開業。日本産婦人科学会専門医、日本女性医学学会(旧日本更年期医学会)女性ヘルスケア専門医、日本女性心身医学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本性差医学・医療学会認定医などを取得。産婦人科、女性内科、性差医療の視点から保険診療、保険外診療の両面で、その人その人に合ったケアを行い、女性のこころとからだの健康をサポートしている。
現代人に多い“新型栄養失調”の予防・改善のために、サプリメントでまず補うべきは「ビタミン」と「ミネラル」!
サプリメントをとるというと、特殊な機能を持つ目新しい成分などに目がいきがちですが、実はまずとるべきなのはビタミン・ミネラルなのです。
そうしたビタミン・ミネラルの重要性を、この連載の第2回で、医療機関専門サプリメントメーカー「ヘルシーパス」代表取締役社長の田村忠司さんにお話ししていただきました。
「加工食品をとることが多い現代人は、3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)は足りているけれど、ビタミンやミネラルが不足している“新型栄養失調”の人が多いです。
特殊な機能性を持つ成分は、とらなくても命に別状はないですが、ビタミンやミネラルは私たちの体に必須で、不足すると健康を損ない、ひどい場合は命にかかわることもあるので、サプリメントをとるなら、まずこれらを補うのが先決なのです」と田村さん。
特に、体やメンタルに何らかの不調を抱えている人は、新型栄養失調が疑われるので、サプリメントを活用して補うとよいとのこと。
そこで今回は、ビタミンのとり方について、医師の林巧先生に伺いました。
ビタミンには「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」があります
「ビタミンの中でも、特に40代、50代の女性に意識してとっていただきたいのが、水溶性のビタミンでは、ビタミンCとB。脂溶性のビタミンでは、ビタミンA、D、E、Kです。
サプリメントは、その栄養素が記載通りに配合されていて、余計な添加物などが入っていない質のよいものを選ぶことが大前提。また、合成のものより天然型のものを選ぶのが理想的です」と林先生(この連載の第1回、第2回も参照)。
以下は、林先生に教えていただいた、各ビタミンの効能や、サプリメントでとる場合のポイントです。
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「水溶性ビタミン」(ビタミンC、ビタミンB群)は、こまめに分けてとることがポイント
1)ビタミンC
美肌効果、免疫機能強化、抗ストレスなどに働きます
「ビタミンCは、コラーゲンの生成を促す働きや、抗酸化作用によってシミやそばかすを防ぐ効果があることから美容によい成分として知られています。
また、免疫機能の強化をサポートする効果もあるので、現在のようなインフルエンザや新型コロナウイルスなどといった感染症が蔓延している時代には不可欠な栄養素です。
さらにビタミンCは、ストレスに対抗するホルモンの合成にも関与しています。
ビタミンCが不足すると、ストレスがたまりやすくなったり、疲れやすくなったりするので、意識して補給することが大切。
そんなビタミンCは、水溶性で、すぐ体外に排出されてしまうので、一度にまとめてとるのでなく、1日3回というように分けてとるほうが効果的です。
厚生労働省の決めている1日の摂取推奨量は100mgですが、これは不調が出ない最低限の量。
ビタミンCは、体のあちこちで使われるので多めにとっておくのがおすすめです。
私の場合は、1回1000mgを1日3回、トータルで3000mgとっています。
不調がある人には、ビタミンCを点滴で、1度に25g、50gと大量に補給することもあるくらいなので、多くとっても問題ありません。
また最近、体内での利用効率を高めたリポソーム化されたビタミンCのサプリメントも市販されているので、そういったタイプもおすすめです」
2)ビタミンB群
エネルギー代謝を助け、疲労軽減に役立ちます
ビタミンB群とは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸の8種類を指します。
「ビタミンB群は、疲れ対策に欠かせないので、40代、50代の女性にぜひとっていただきたい栄養素。
エネルギー代謝をサポートして、疲れやすさを軽減し、活力を保つのに役立ちます。
また、貧血予防に欠かせない鉄分の活用を助ける働きのほか、神経機能を維持する働きもあるので、不安感やイライラ、抑うつ症状の軽減も助けてくれます。
皮膚や髪の健康を保ち、見た目の若々しさの維持にも役立ち、特に葉酸は細胞の修復と生成に必要です。
ビタミンB群も水溶性で、多くとっても体外に排出されるので、しっかりとっておくのがおすすめ。
ビタミンB群は、それぞれの働きを補いながら作用するので、B群としてまとめてとるのが効果的です。
とる量は、サプリメントのパッケージに記載された量を目安にとりましょう。
ビタミンCと同じく、1日3回などに分けてとるのがよいです。
多くとっても害はないので、とってみて効果を感じなければ、量を増やしてみてもよいと思います」
以上が、意識してとりたい栄養素の筆頭、「水溶性ビタミン」。
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いちばん耳にすることの多い栄養素ですが、意外と知らないことが多いかも!
上で紹介した内容は、改めて頭に入れておきたいことばかりですね。
写真/Shutterstock〈イメージカット〉 取材・文/和田美穂