毎日の生活習慣で丈夫な骨をつくろう
●座り仕事中は1時間に1回は立つ
「長時間のデスクワークで骨密度が減ることがわかっています。骨は活発に動いていると骨ホルモン、オステオカルシンが分泌されます。オステオカルシンには筋肉量を増やす働きがあるので、座りっ放しでいると分泌が減り、骨密度も筋肉量も減るのです。座り仕事中は30分〜1時間に1回は立ち上がって体を動かしましょう」
●ウォーキングなど、適度な運動を取り入れる
「丈夫な骨をつくるには運動が欠かせません。骨を強くするエクササイズもおすすめですし、ほかにはウォーキングも骨の老化対策に◎。1日20〜40分、普通歩きと大股早足を3分ずつ交互にすると、かかとに衝撃が加わって骨が丈夫に。太ももの筋力も鍛えられ、転倒防止にもなります」
●内臓脂肪を落とす
「内臓脂肪が多い、ぽっこりお腹の人は、骨が弱く骨粗しょう症になりやすいことがわかっています。内臓脂肪がつきすぎると糖尿病などの生活習慣病になりやすく、発症すると骨が糖化して劣化しやすくなります。食生活に気をつけたり運動を取り入れたりして、内臓脂肪の蓄積を防ぎましょう」
●スクワットなどをして太ももを鍛える
「筋肉と骨には密接な関係があり、筋肉を鍛えるとマイオカインという物質が分泌され、骨代謝が促進。一方、骨から出るオステオカルシンは筋力アップを促進します。そこでおすすめはスクワット。体で最も大きな筋肉である太ももを鍛えることで骨密度も筋力も高められます。手を机などに置いて体を支えて行うスクワットなら、体力がない人でも無理なくできるので、こまめに実践を」
●いつもの動きをちょっと大きくする
「特別な運動をしなくても生活の中の動きを大きくするだけで骨力アップは可能。例えば床磨きやお風呂掃除はちょっとした早歩きと同様の運動強度に匹敵。ですから床の新聞紙を片づけるときに膝をしっかり曲げるようにしたり、床磨きを大げさにするなど、いつもの動きをちょっと大きくしてみましょう」
●質のよい睡眠をとる
「骨代謝は睡眠中に活発になるので、質のよい睡眠をとることも重要。40代〜50代の女性は何かと忙しくて睡眠時間を削りがちですが、十分な睡眠時間を確保しましょう。寝る1時間〜1時間半前に39〜40℃のぬるめのお風呂に15分ほどつかると、その後体温が下がったときに自然に眠気が訪れて熟睡できるのでおすすめ」
日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者
イラスト/本田佳世 取材・原文/和田美穂