ご飯や味噌汁、サラダなど、普段の食事に「骨活」食材を“ちょい足し”しましょう!
骨粗しょう症の予防によい栄養素については、この連載の第28回で紹介しましたが、今回は、一日の目標量をとるコツを、整形外科医の伊藤薫子先生に伺いました。
「骨粗しょう症を防ぐためには、カルシウムやマグネシウム、亜鉛、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質など、丈夫な骨を作るために必要な栄養素を多く含む食材を常備しておき、ご飯や味噌汁やサラダなどに“ちょい足し”するのがおすすめです。
例えば、いりこ粉末、海苔、ひきわり納豆、ごまなどをご飯にのせたり、しらす、大葉、干しえびなどを味噌汁に入れたり。
サラダには、チーズやくるみなどをトッピングしたり。
このようにしてちょこちょこと取り入れることで、摂取量を増やすことができ、骨粗しょう症予防につながります。
40代、50代になったら、このような工夫で、意識して骨活食材をとるようにしましょう」
伊藤先生がおすすめしてくれた、簡単にできる“ちょい足し”は、以下のような方法があります。
■ご飯におすすめの“ちょい足し”食材
●いりこ粉末
いりこ粉末にはカルシウムや、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDが含まれ、タンパク質もとることができます。
ご飯のほか、味噌汁や炒め物、湯豆腐、焼きそばなどにかけるのもおすすめ。
●海苔
海苔は、カルシウムのほか、ビタミンDや、骨の形成を促すビタミンKも含まれる優秀な骨活食材。
ちぎってご飯にかけたり、麺類や納豆などにかけても◎。
●乾燥わかめ
わかめは、食材の中でも、ビタミンKが多い食材。
カルシウムも多く含まれています。
乾燥わかめを炊きたてご飯に混ぜたり、味噌汁に入れたり、酢の物やサラダなどに混ぜても。
●すりごま
ごまには、カルシウムや亜鉛が多く含まれています。
すりごまなら、いりごまより細かいので、栄養の吸収率が高いのでおすすめ。
ご飯や味噌汁、おひたしにと、いろいろなものに“ちょい足し”を。
●ひきわり納豆
納豆の中でも、ひきわり納豆は特にビタミンKが豊富。
ご飯にのせたり、そばやパスタなどに混ぜるのもよい方法。
■味噌汁におすすめの“ちょい足し”食材
●大葉
大葉には、カルシウム、マグネシウム、ビタミンKが多く含まれます。
細かく刻んで味噌汁にトッピングを。
冷奴にのせるのもおすすめ。
●干しえび
カルシウム、マグネシウム、タンパク質を多く含む食材。
味噌汁に加えると、いいだしも出て美味。
卵焼きや野菜炒め、焼きそばなどに加えても。
●しらす
カルシウム、マグネシウムが多く含まれます。
また、「しらす干し」なら、ビタミンDもとれます。
冷奴やおひたしなどにのせるのもおすすめ。
●干ししいたけ(粉末)
ビタミンD(カルシウムの吸収を促進する脂溶性ビタミン)が豊富に含まれています。
生しいたけを天日干しすると、紫外線の作用でビタミンDの量が大幅に増えるといわれているので、天日干ししたものを使うのが理想です。
干ししいたけでも、粉末タイプなら戻す手間がいらないので、常備しておくと便利。
味噌汁のほか、鍋物や煮物にも。
●塩昆布
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富。
味噌汁のほか、野菜に混ぜてしばらくおいて浅漬けにするのもおすすめ。
■サラダにおすすめの“ちょい足し”食材
●パルメザンチーズ
タンパク質とカルシウムを多く含む食材。
サラダにトッピングすると、コクがプラスされて美味。
パスタやスープに加えたり、パンにかけても。
●くるみ
タンパク質やマグネシウムが多く含まれ、良質の脂質であるオメガ3脂肪酸もとれます。
サラダのほか、あえ物にもおすすめ。
●ドライプルーン
カルシウム、マグネシウム、ビタミンK、亜鉛と、骨によい栄養素が豊富。
細かく刻んでサラダに混ぜたり、おやつにそのまま食べるのも◎。
●パセリ
パセリには、ビタミンKのほか、腸でビタミンAに変わって骨密度を高めるβ-カロテンも多く含まれます。
サラダのほか、スープにトッピングしても。
●バジル
カルシウム、マグネシウム、ビタミンKを多く含みます。
サラダに加えたり、カプレーゼやパスタなどにもぴったり。
カプレーゼなら、チーズからもカルシウムがとれます。
以上が、伊藤薫子先生おすすめの“ちょい足し”食材の例です。
そのほか、おやつタイムも、骨によい栄養素をとるチャンス。
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■おやつでおすすめの“ちょい足し”食材
「おやつには、ついお菓子を食べたくなるものですが、なるべく不足しがちなカルシウムやマグネシウムが補えるような、骨によいものを選ぶのがベターです」
伊藤先生がおすすめしてくれたのは、以下のようなおやつです。
●アーモンド
マグネシウムがとれるうえ、腸によい食物繊維も含まれます。
血行促進をサポートし、抗酸化力が高いビタミンEも豊富。
●ヨーグルト
タンパク質とカルシウムをしっかりとることができるほか、腸内環境を整える乳酸もとれます。
大豆イソフラボンや食物繊維をとることができるきな粉や、カルシウム、マグネシウム、ビタミンKを含むドライプルーンをトッピングするのも◎。
●ハイカカオチョコレート
カカオの含有量が多いハイカカオチョコレートは、マグネシウムや鉄、食物繊維、ポリフェノールが多く含まれます。
●アーモンドフィッシュ
タンパク質、カルシウム、マグネシウム、ビタミンDなどを含む、骨活にぴったりのおやつ。
血行をよくするビタミンEや、良質の脂質である必須脂肪酸のDHAやEPAもとることができます。
上で紹介したような食品を、一日の中でこまめにとることで、骨によい栄養素の摂取量を増やすことができます。
意識して毎日コツコツ取り入れて、骨粗しょう症を未然に防ぎましょう。
【教えていただいた方】

いとう・かおるこ●「女性のための整形外科 かおるこHappyクリニック」院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京女子医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室へ入局。関連病院勤務、アメリカ留学を経て、慶應義塾大学病院骨粗しょう症外来を担当。2021年7月、東京・帝国ホテル内に「女性のための整形外科 かおるこHappyクリニック」を開院。「いくつになっても背筋を伸ばしてハイヒール」をモットーに、女性一人一人の骨と関節の悩みに寄り添う診療に定評がある。院長が伴走するオンライン講座「4カ月の骨活プログラム」も全国から受講されている。
写真/Shutterstock 取材・文/和田美穂
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