専門家が答えます
睡眠の疑問Q&A
睡眠についての悩みは、生活習慣や体質、年齢によって異なります。ここでは、よく聞く40代50代の睡眠の悩みや疑問について、専門医である三島和夫先生に解説していただきました。
Q:なかなか寝つけないのはなぜ?
A:ストレス過多、不規則な生活を見直して!
「不安や心配事を抱えたまま布団に入っていませんか? ただでさえ、暗くシーンとした状態でいるとマイナス思考が働くので、さらに眠れなくなることも。寝つけずに悩んでいる場合、ストレス過多やうつ病の初期段階の可能性が疑われます。まずは規則正しい生活を意識し、朝の日差しを浴びる、ストレスの発散など、生活習慣の見直しから始めましょう」
Q:夜中に何度も目が覚めるのは何が原因?
A:夜中のトイレやいびきが原因かもしれません
「年齢とともに深いノンレム睡眠が減っていき、浅いレム睡眠が増えていきます。そのため夜中に目覚めることが増え、だんだんと早寝早起きにシフトする傾向にあります。このように寝続ける力が落ちていることに加えて、夜中のトイレやいびきをはじめ、かゆみ、痛みを伴う病気による可能性もありますので、睡眠に不満がある場合は、専門医に相談することも検討しましょう」
Q:夢を見るのはちゃんと眠れていないの?
A:悪夢を繰り返す場合は病気の可能性が
「夢はみんなが見ているものですし、問題はありません。しかし、頻繁に怖い夢を見るようなら注意が必要です。子どもの頃は怖い夢をよく見ますが、普通、年齢とともに減っていきます。大人になっても毎週のように見る場合、PTSDやうつ病、大きなストレスがかかっているなど、メンタルヘルスの問題を抱えていることが考えられます。悪夢によって睡眠が妨げられ、日中のコンディションにも影響が出ているなら、一度、メンタルヘルスのチェックを受けることをおすすめしています」
Q:夫の寝言が多いです。問題ありますか?
A:夢と連動するアクションがあったら要注意
「通常は問題ありませんが、非常に大きな声の寝言や、夢の内容と合致するような叫び声が出てきたら注意してください。深刻な神経疾患につながる『レム睡眠行動障害』の可能性も考えられるので、一度検査することをおすすめします。特徴としては、人に暴力を振るったり、罵ったりするような、感情が高ぶる夢をしばしば見て、そのとおりに怒鳴ったり、体を大きく動かすようなら注意が必要です」
秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授、日本睡眠学会理事。 睡眠薬の臨床試験ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者などを歴任
イラスト/東 千夏 構成・原文/高田あさこ