更年期には、さまざまな体調不良や体の変化が起きますが、それゆえにメンタルも落ちぎみに。そんな悩みへの対処法を産婦人科医・高尾美穂先生に伺いました。
ホルモン治療の悩み
Q.
昨年末に乳がんが見つかり、右胸全摘手術を受け、脇のリンパも切除。女性ホルモンを抑える注射も打ちました。副作用は更年期症状と自殺念慮(ねんりょ)と言われ、恐れおののいています。心療内科にも通っていますが、薬が強く、だるさやイライラが抑えられません。特にパラサイトなのに態度が大きい妹に対し、憎しみのような気持ちが抑えられず…。感情の変動に悩まされています。(54歳・主婦)
A.
手術後、まだ落ち着いていないようです。慣れも必要。漢方薬を試すのがおすすめ
「年齢的に更年期でもあり、ホルモン治療の影響もあってメンタルの不調が強く出ていると考えられます。ただ、医師の“自殺念慮”というのは強すぎる言い方で、不安になってしまいますよね。対策としては、メンタルの薬は続けつつ、婦人科で相談して漢方薬も試してみるといいと思います。術後の体調がまだ落ち着いていないと推測されますが、その状態はしばらく続くと思って、慣れていくことも必要。妹さんのことは、将来お世話になる可能性もあると思うので、感謝の気持ちをもって接することができるといいですね」
※この企画で取り上げた悩みは、2022年7月28日〜8月10日にWebマガジンOurAgeで募集したものです。
高尾美穂先生ってどんな人?
イーク表参道副院長。産婦人科専門医。さらにスポーツドクター、ヨガ指導者でもあります。産婦人科医になったのは「一人の女性の体を、初潮を迎えたとき、生理痛やPMSで悩んだとき、恋愛をして性交渉のことで悩んだとき、妊娠・出産のとき、更年期、閉経後と、人生を通して長く診ることができるから」だそう。診療のかたわら、NHK「あさイチ」への出演をはじめ、多数のメディアやSNSで情報を発信。音声配信アプリstand.fmの番組「高尾美穂からのリアルボイス」ではリスナーの多様な悩みに回答しています。著書に『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)など。脳外科医の夫あり
撮影/高尾美穂<アイキャッチ背景写真> 取材・原文/和田美穂