娘が二十歳になり、家庭の年中行事も減ってきましたが、お雛さまだけは桃の節句という一年に一度のステージのために実家の納戸でじっと待っているのだと思うと「ちょっと面倒だなぁ」なんて思いを振り払って、少しでも早く出してあげたい気持ちになります。
うちのお雛さまは私が初節句の時に祖父が買ってくれたもの。
当時社宅住まいだったため、札幌の丸善で小さな木目込み人形のセットを選んでくれたそうです。
それがこちら。
実家にはもうひとつ、私が小学生の時にやって来た7段飾りのお雛さまもありました。
4歳違いの妹が生まれ、戸建てに引っ越したからか、ある日父が「お雛さまを買いに行くぞ!」と言い出し、家族を引きつれ百貨店へ出かけ、買ってくれたのです。
大きな7段飾りですからお道具もついて立派だったので、以来「正お雛さま」のポジションはその7段の方に移っていきました。さらに姉妹が大人になるとその7段飾りのお雛さまですら出すこともなくなり、どちらのお雛さまも納戸の奥でひっそり時を過ごしていました。
再度出番がきたのは2002年。
私が結婚し、娘の初節句に実家のお雛さまを飾る案が浮上。
選択肢は2つありましたがマンション住まいのため、スペース的に祖父が買ってくれた小さなお雛さまがしっくりきました。
出してみるとふっくら幼顔のお顔はみんな今でもお肌が白く美しく、小さいけれど三人官女、五人囃子もいて賑やか。娘に新しいものを買うより祖父が買ってくれたこのお雛さまで楽しんでいこうと決めました。
そこから20年、小さいお雛さまを毎年飾っています。たとえ娘に見向きもされなくても・・笑。
購入当時あったガラスのケースはだいぶ昔に割れてなくなってしまいました。
お人形さんの方も長年飾ったり、片づけたりしているうちに接着されていた帽子が外れて頭頂部の地肌が見えたり(お顔はお若いのに・・)、雑役係の仕丁は、昔は沓台(靴を置く台)を持っていたのに壊れて何も持たずに手持無沙汰な感じ。
そりゃあ私が五十●歳ですから、半世紀以上お仕事をしてきてお疲れが出るのは当然。そう思うと我が身のようで、幼い頃とはまた違う愛おしさを感じます。日々バタバタしていると飾るのが3月3日ぎりぎりになりがちですが、今年こそは早く出して日の光をたっぷりあてて差し上げようと思うのでした。