「冷蔵庫の中を見て思うこととそっくり」
畑の野菜たちを見てそんな風に思ったりします。
早く食べなくてはならないもの、熟すまで待つもの、常備菜的にいつでもキープしておきたいもの、遠いところからの頂き物、楽しみに残しておいたウィンナー、勝手に誰かが食べた(間違いなく夫)・・。
何がどこに置いてあって、どれほどの量なのか、何となく記憶している冷蔵庫の中の状態と、
間引きのカブは葉まで柔らかいから多めに抜いて・・
人参の葉が枯れてきたということは、収穫のタイミング・・
ルッコラや青梗菜はそろそろ採らないと葉が固くなりそう・・
ここにあったトウモロコシ、勝手に誰か食べた!(きっと鳥)・・なんて、
どこに何がどう並んでいて、それをまずどうしなくちゃいけないかを、料理・・・ではなく、野菜に触れる流れは、冷蔵庫の中を覗いているのと、どこか似ている気がします。
なのに、そんなある日の畑で。
「ん?」
先週まで全くなかった、高さある緑を発見。
えーっとえーっと確かここは秋に植えたサニーレタスがあって、ビーツがあって、でもそれらの収穫はすっかり終わっていて・・。
「あ!」
初めてトライした野菜だったせいで、いつが採り時、食べごろだったのか、私も畑メイトさんもためらい続けていた、タアサイだ!!!
黒のマルチシートの上に見える濃い緑色の葉が、タアサイであることに気付かせてくれました。
「賞味期限過ぎてるけど・・」恐る恐る瓶の蓋を開け、匂いを嗅ぐのと同じよう、「どんなものか?」とタアサイに近づき、スクスク伸びる茎を手でポキっと折ってみると、いとも簡単に切り離すことが出来ました。
この“折る”という手法は、春菊やスティックセニョールなど茎物を採る時によく使う収穫法でもあり、もしやこんなにあっさり折れるということは、スジもなく菜花として食べやすいのでは?と、本来のタアサイが味わえなかった分、しかと持って帰ることに。
「タアサイだったら塩胡椒でシンプルに、もしくはオイスターソースで炒めて食べたかったな・・」などと反省しつつ、この子達をどのように食べようかと考えていると、まさかのタイミングで夫がスペアリブを使ってトンポーローを作ってくれていたので(ウィンナー食べられて「ちょっと〜!」とか騒いでごめんと思う瞬間です)、同じく収穫して帰った青梗菜と炒め蒸しにして添えてみました。
淡く甘みがあって、でもどこか苦くて、折った時と同じサクサクの食感はそのままで、それはもう、全力で春の味!!溢れんばかりの生命力満載の味!!
八角やシナモンなど複雑に味付けされたトンポーローにも合う、凛々しさ感じる味!
「買った時とは違う食べ方になっちゃったけど、でもこれはこれで美味しい発見かも!」
冷蔵庫の扉を締めながら「いい物見つけた!」とニンマリ微笑む時と同じ感情が、タアサイの菜花から味わうことが出来ました。
旬は旬としていただくのが一番贅沢で美味しい食べ方だと思いながらも、収穫をためらったばかりに出会った、このような副産物もまたありがた美味しく。
そんな畑で採れる菜花シリーズ、タアサイの他に白菜や大根からも収穫しようと計画中、季節の移り変わりの中にある味を、しっかり楽しみたいと思います!
加藤紀子
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