昨年9月に、私の骨密度のお話を書きました。
◆生活の質を落とす要因「骨密度」。DXA法の腰椎検査で同世代の134%という好結果に!
私は約6年前に乳がんになり、再発予防のため、閉経後にもかかわらず、さらに女性ホルモンを抑えるお薬を5年間飲まなければならず、骨粗鬆症になるリスクが高かったので、それを避けるためにプラリアという骨密度を上げる注射を半年に一度打つことを選択しました。おかげさまで記事でご報告したように昨年の秋に最も正確とされるDEXA法で測った骨密度は超優良な数字でした。
ところがあるパーティーでお目にかかった日本を代表する整形外科の先生にこのことを話したところ「匠子さん、骨の強さというのは骨密度だけではないのです。骨密度は高いけれど、硬いだけで、柔軟性が少ないという可能性もあります。そういう骨は陶器の様でまたパキンと折れやすいのですよ。一度整形外科の中でも骨のスペシャリストに相談してみてはいかがですか」という提案を受けました。
え〜、自分がいけていると思っていたのに、間違っているの・・・?
そこで年末に先生ご紹介を受けた骨のスペシャリストに診てもらいました。
私が先生に「骨はQOLに最も直結すると思っています。私の母は私を産むために受けた輸血が原因で晩年にC型肝炎を発症し、肝癌に移行しました(C型肝炎は今はほぼ完治できる病気ですが、16年前はダメでした)。気丈な母は私を産むためになった癌は受け入れていました。でも圧迫骨折を起こし、腰が曲がってしまった時、母は『これは受け入れられない』とハッキリ言いました。死よりもQOLを第一に思う母の明確な意志に私としては思うところが大きかったです。」と話すと「その時代にQOLに対する意識をはっきり持っていらっしゃるお母様は素晴らしいですね。以前は骨に直接働きかける治療は存在しなかったので、骨が弱くなってQOLが低下しても、諦めるしかなかったのですが、この15年間に多くの種類の薬剤が出来て、骨を治療できるようになりました。私も晩年のQOLを最も左右するのは骨ではないかと思っています。でもその意識を持っている方は少ないので、がんの検診はうけても、骨の検診は後回しにする人がほとんどなのが実情です」と答えて下さいました。
と言うわけで骨密度上は完璧な私の骨の真のクオリティーはどうなのでしょうか?
色々検査をした結果、先生のおっしゃるには
「やはり朝倉さんの骨は現在のところ年齢的に言って最高の状態ですが、これ以上プラリアを続けると硬いだけで柔軟性のない骨になる確率がグンと高くなると思われます。だからと言ってプラリアを止めて、何もしないと骨の劣化のスピードが加速するので、違うカテゴリーの薬剤(ビビアント)に変えて、1年後にまたチェックしてみましょう。」ということでした。
今回始めることになったビビアントは「SERM(サーム)」と呼ばれ、骨を壊す働きを抑える薬です。エストロゲンと似た作用で骨密度は増加させる、けれども骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響がない。女性ホルモンの改良版として、骨を丈夫にする目的でよく使われるそうです。もちろん薬ですから副作用もあります。
この分野、実はまだまだ多くの症例がある訳ではありません。先生方もある意味手探りのところもあります。人生が長くなり、自然のままに放置しておけば、ほぼ骨粗鬆症を避けられない女性の骨をどうより良い方向に導くのか?
5年間継続してきたプラリアを中止し、サーム(ビビアント)に変えた私の骨はどう変化するのか?
1年後にご報告できればと思います。