前回、カタールW杯に行って5つのスタジアムで「一喜一憂」しまくった話を書きました。
今回は、主にメトロやレストランなど街で体験した想定外の出来事をご報告しますね。
1. 治安がいい。メトロでちょいちょい席を譲られる!?
海外観戦に行くとき、治安は重要です。ヨーロッパはもちろん、ロシア大会の時なども、モスクワのホテルで同行の夫が寝坊している間に「じゃあ、私は赤の広場に行って来る」といったひとり行動は多々。過去に女性の一人歩きが危険と言われた国の大会には行きませんでした。
その点、カタールはとても治安がいいと前から聞いていましたよ。
突然ですが、この写真、イングランドーアメリカ戦の開始前に撮影しました。着ているのは、確か2002年日韓W杯の時にポール・スミスで買ったイングランド応援Tシャツです。背中はイングランドの地図柄プリントで、フロントは、ポールが子供時代の1966年にイングランドが自国開催W杯で優勝したときのユニフォームをイメージしたという数字の6だけのシンプルなデザインです。せっかくなのでマーガレット・ハウエルのスカーフで英国重ね(?)してみました。ちなみにこの日も少し寒かったので、ナイロンパーカの上にTシャツを着ています。
なぜこの写真を出したかといいますと。
イングランドーアメリカ戦に向かうメトロの駅で、トーブというイラク人男性の正式な白い衣装を着た知的紳士風おじさん3人組に後ろから声をかけられました。
「なんでイングランドの地図を着ているの?」
笑いながら「イングランドチームを応援しているだけ」と答えたら
「カタールはどう?」と。
聞かれたのがサッカー代表のことかドーハの街のことかわからず一瞬言葉に詰まったら、
「カタールは安全だからいいでしょ」。続けて別のおじさんが
「カタールは盗みをすると腕を切られるからね」と右の手の平を直角に左手首に当てて切るジェスチャーをします…。
だ、だから安全なのか…と複雑な気持ちになりましたよ。
話は変わりまして。
メトロがまたブラボーなんです。3路線あり、毎日どのスタジアムに行くのにも利用。入国ビザ兼W杯用IDカード「ハイヤカード」をスマホで提示すれば、すべて無料です。メトロもスタジアムに合わせてW杯に向けて作られたそうで、ピッカピカでわかりやすい。
ドアに張られた黄色の注意書きの一番下、ドアに挟まりそうな人がトーブを着ていてます。お国柄を感じさせるピクトグラムに、グッときましたよ。
さてメトロに乗り込むと、少し混んでいることが多く立っています。すると、ちょいちょい男性に席を譲られます。白いトーブを着たカタールの方のこともあれば、他の国から仕事で来ている現地在住と思われる方もいます。びっくりして「いえいえ、大丈夫です」と遠慮していたのですが、席が空いたままなのも気まずいので、だんだんお礼を言って座るように。地元やほかの国の女性や子供も譲られていたので、当たり前のマナーのようです。それを毎日見ていると、私も自然と子供が乗ってくると譲るようになりましたよ。
基本的に女性と子供にやさしい国という印象を受けました。もしかしたら女性は男性の庇護のもとにあるという考えから来ているのかもしれません。
さて、次の「手のひら返し」行かせていただきます。
2. お酒はほぼ飲めない。タバコの煙が苦手な人は食事中の「水タバコ」に注意!
私の個人的な希望ですが「お酒はできたら毎日飲みたい」派。一方喉が弱いため「タバコの煙は苦手」派です。
今までW杯といえばビールがつきものでしたが、カタールはもちろんアルコール禁止です。飲めるのは一部のホテルのバーでのみ。開幕直前に試合会場でアルコール販売をしないことが決定。でもファンゾーンではビールを出すことになったという報道があったので、到着日にさっそく行ってみましたが、ない。聞くとファンゾーンでも夜しか出さないということでした。
まあ、それぞれのお国事情に合わせることは仕方がないです。
ちなみに私が滞在した中規模ホテルのレストラン兼バーは、入口でパスポートをコピーされたうえで一応ビールが飲めたのですが、グラス1杯約1800円! 高いうえに、喫煙可能でモクモクで苦しい。もちろん部屋で飲みたくても、そもそもアルコールなど売っていないので不可能です。
カタールも基本的に屋内は禁煙だそうでバー以外で煙は気になりませんでした。問題はオープンエアのレストランです。
スーク・ワキーフという古い市場街が、日本でいう浅草のような存在で海外からの観光客が必ず来る場所。各国サポーターが集結していて、テレビクルーも常に何チームも撮影に来ていました。
こちらはアルゼンチンに勝った日のサウジアラビアサポーター。お隣の国ということもあって、ものすごい盛り上がりで多分、数百人がスーク・ワキーフを長時間練り歩いていましたよ。その時は「いいなあ、私たちも明日ドイツに勝って練り歩きたいものだ」と心底うらやましく思いました。ところが翌日実際にドイツに勝ってみると、応援しすぎと喜びすぎですでにスタジアムを出たときには電池切れ(自然と顔だけはにやけましたが)。練り歩く気力なんぞ残っていませんでした…日本人はやっぱり体力もないしおとなしいよね、と周囲の人達と話しながら静かにメトロの行列に並びましたよ。
そんなスーク・ワキーフの周りにレストラン街があり、店前のオープンテラスにテーブルが並んでいます。
その中の多くの店のメニューに水タバコがあるのではないかと思われます。メニューの中に水タバコ器具のイラストを発見したり、配膳担当のウエイターさんが、お皿と壺とチューブを組み合わせたような道具をテーブルに運んでいるのを目撃。1軒の店前だけで3~4テーブルに器具が置かれていることもありました。
レストランの外観写真に、ごく小さく写っていたので引き伸ばしてみました。店によって器具のデザインは違うようですが、サイズはどこも地面からテーブルの上までと大きいんです。
食べている横でものすごい煙が~! おいしいけれど煙い~。臭い~。
タバコの煙に弱い人は要注意です。
3. ヒヨコ豆や羊肉。料理が健康的でおいしい!
ふだん日本でも、ヒヨコ豆のペースト「フムス」がメニューに載っていたら必ずオーダーするほどのフムス好きなのですが、ホテルの朝食バイキングにも毎朝提供されるぐらいの定番でした。う、うれしい~。
左のお皿の周囲がヒヨコ豆のペースト「フムス」。ふつうは火を通していないのですが、この店ではオーブンで焦げ目をつけているようです。下に写真のある薄パン「ホブス」や野菜、肉などにつけて食べました。中心にある白いのは水切りヨーグルト。写真にはありませんが山羊のチーズも朝食に必ず並んでいました。右の写真のドリンクは(私はミントが苦手なのでNOミントと2度確認してオーダーした)レモネード、左が一般的なミントレモネードです。ミントたっぷり。
サラダは左の「タブーレ」(パセリとトマトなど)と「ファットゥーシュ」(野菜にパンのクルトン入り)が、どこに行ってもおいしい!
メインに羊の炭火焼き「ケバブ」を食べている人が多いようでしたが、私たちの胃には立派すぎる量に思えたので、メニューに書かれた材料を見て「鶏とトマトと豆の煮込み」とか肉と野菜をいっしょに摂れるものを選ぶようにしていました。薄パン「ホブス」(下段左)をつけてくれます。パイ包み焼き(中段右)はアゼルバイジャン料理店で。
どれもおいしくて栄養バランスもよさそう(魚と海藻だけは足りないと思いましたが)。毎日別の店にチャレンジして「今日も大成功だった」と満喫しましたよ。
4. 混雑回避の行列のさばき方がすごい!
8万人とか6万人収容のスタジアムは、当然、試合終了後の混雑がひどいわけです。
88,000人だったブラジルーセルビア戦後、見渡す限りの人です。でも勝ったブラジルのサポーターはあちこちで陽気に踊っていましたよ。
危険な事態が起こらないよう、帰りは行きとは別の遠回りの通路が設置されていて、メトロまで長~い行列を歩きます。ときどきストップもかかるのですが、各国のサポーター、おとなしく待ちました。
22時から24時のイングランドーアメリカ戦後、シャトルバスまでの行列と、バスを降りてメトロの駅までの行列、合わせて2時間ぐらい行列に並んだときには、いらいらして大声を出したりする人が出なくてよかったな~、とほっとしたほど。今までのW杯やユーロで、試合前後にビールを飲み続けて騒ぐイングランドサポーターを何度も見てきましたが、今回はアルコール販売なしで素面だったのと、試合結果が0-0で今ひとつ盛り上がらなかったのもよかったのかも(?)と思いましたよ。
メトロの駅は午前3時にクローズと表示されていたので、この日はホテルの駅にたどり着くのがぎりぎりで焦りましたー。
そんなこんなで、試合の往復で毎日歩き詰め。飛行機移動の日を除き、滞在7日間で2万歩以上の日が4日もありました。2万5000歩はたぶん自己記録です。W杯観戦に一番必要なのは歩く力かもしれませんね。
さて、以前から日本サッカー協会が掲げる「2050年までにW杯で優勝」という目標が、今回また注目されていますよね。サッカーファンになって26年、日本代表はどんどん強くなってきましたよ。2050年まであと28年、成長を見続けたい。この目で優勝を見たいものです。
さてさて、今回は「定年女子あるある(かもしれない)川柳」W杯バージョンを。
優勝を 現地で見るぞ 90歳
◆【サッカーW杯観戦】カタールの5つのスタジアムで「一喜一憂」しまくったこと/定年女子W杯に行く(前編)
↑(定年後にサッカー観戦三昧する妄想はこちら)