京都東山の「八坂の塔」の南側に町家が連なる風情あるエリアがあります。藍染の暖簾が掛かるのは「dedegumo」というハンドメイドの時計とアクセサリーのお店です。
店内に一歩入ると、趣ある木の什器や棚に、ずらりと並ぶ腕時計。でもその時計は、いずれもとても個性的。今まで見たことがないような文字盤やケースで出来ています。
このお店のオーナーは、デザイナーであり、一級時計修理技能士資格をもつ 京都生まれの出雲千虎さん。1992年から京都を拠点に本格的にハンドメイドの時計とアクセサリーのショップを始められたそう。不思議な店名「dedegumo」は、なるほど「出雲」という苗字に由来し、雲が湧き出るように、そして世界中に飛んでいくようにとの思いも込められたもの。
出雲さんが作るハンドメイドの時計は、ケースは真鍮やステンレスなどで、そこに独特の風合いを醸しだすよう表面に加工が施されています。文字盤であるフェイスは、一言では表現できないほど、種類も豊富。でも「不思議の国のアリス」などに出てきそうなどこか懐かしい感じも漂います。「男性のユーザーがほとんどです」とおっしゃる出雲さん。でも、小ぶりな女性ものも用意されていて、それも男性もの同様、アートを感じさせるものなのです。
かつて腕時計は、ステイタスを示す小道具といわれた時代もありました。そして今、携帯電話には時計機能が付き、腕時計がなくても不自由しない時代に。でも昭和世代にとって、文字盤を針が動くアナログ式のものでないと、時間の感覚がつかめないという人も多いもの。腕時計は、外出には欠かせないのです。
服装がカジュアルになっている昨今。京都を訪れる女性の旅行者の多くは、スニーカーにリュックというスタイルが一般的。個性的な腕時計は、カジュアルなおしゃれさをいっそうアップさせるツールになるかもしれません。
女性用の腕時計は、男性より小ぶりなものというのが一般的。でも年齢と共に細かい文字が見えにくくなると、大きな文字盤の方が重宝します。フェミニンな雰囲気の時計ではなく、あえて無骨な雰囲気の腕時計をセーターにする…そんな使い方も洒落ています。
「dedegumo」の時計の内部のムーブメントは、日本製。それをショップの奥の工房で、ケース、文字盤、針などと共にセットし、作り上げてゆきます。「ひとつひとつ丁寧な作業をするので、量産ができません。またそれぞれのデザインの数量も限られています」と出雲さん。さらに革ベルトの部分をオーダーできるものもあり、カラフルなイタリア製の革ベルトの自分好みの時計が作れるのです。
価格は、9000円台のものが多く、京都に来るたびに求める人もいるとか。また海外から旅行者の間でも評判だそう。
店内には、洒落たデザインのフランス製の陶器のアクセサリーや銀製のリングなども。
従来の腕時計のイメージを、よりアートに変えた出雲さん。ショップは、「八坂の塔」のそばのほかに、白川新橋のそばにもあります。旅の途中に立ち寄りたい、個性的なおしゃれが好きな方におすすめのお店です。
「dedegumo 八坂上町店」
京都市東山区八坂上町370
☎075‐551‐2270
営業時間:10:00~19:00 不定休
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」