一気に秋到来、寒さが増してくるこれからの季節に向けて、肌のケアが気になるミーナです。正しい知識とケアの仕方を、皮膚科医の津田攝子先生にお伺いしました。先生の肌は、ツルツル、ピカピカなので、しっかり学びたいです。
保湿=「水分を補うこと」、そう思い込んでいませんか?
保湿は単なる水分補給ではありません!
自ら潤う肌を育むことです。
肌の保湿ケアというと、ただ水分を与えることだと思っていませんか?
実はそれでは不十分! 保湿の基礎を知って、正しいケアをすることが、すべての肌トラブルの解消とエイジングケアの基本です。
今回は、皮膚科医の津田攝子さんにお聞きした、保湿についての正しい知識とケアのポイントをご紹介します。
津田攝子さん Setsuko Tsuda
profile
皮膚科医。津田クリニック副院長。佐賀大学医学部皮膚科非常勤講師。ドクター津田コスメラボ代表。臨床経験と皮膚科学の知識を生かした治療やアドバイスに定評。トラブルの多い自分の肌を使い、臨床で美肌処方を引き出すドクターズコスメ開発の第一人者
細胞内の水分、細胞間脂質、皮脂膜のバランスが大事!
私たちの生活には、肌が乾燥する要因がいっぱいです。温度と湿度が低下する冬はもちろん、夏の強い紫外線や冷房、ストレスも肌機能を低下させ、加齢でも肌は乾燥していきます。まさに肌はつねに乾燥との戦い。
しかも乾燥状態を放っておくと、皮膚のバリア機能は低下し、肌体力も落ちてしまいます。それは老化を促進したり、敏感肌になったりと、さまざまな肌トラブルの原因に。まさに保湿はスキンケアの大基本。
「肌の保湿におもに関係しているのは、皮膚表面のわずか0・02㎜の角層。みずみずしい肌とは、この角層が潤っている状態です」と津田先生。
角層の構造はよくレンガとセメントに例えられます。角質細胞がレンガのように重なり、その間にはセメント=接着剤の働きをする細胞間脂質があり、表面を皮脂膜が覆っています。
「理想的な肌は、NMF(天然保湿因子)により角質細胞内に水分がふっくらと蓄えられ、細胞間脂質の主成分であるセラミドが水分を抱き込んでしっかりしていること、そして適度で滑らかな皮脂膜がある状態です。角質細胞内の水分、細胞間脂質、皮脂膜の3つがバランスよく構築されていることが重要です。
つまり、保湿ケアとはただ水分を与えることではなく、これらの機能を正常に導き、肌が自ら水分を保持する力を育てることなのです」
潤った肌
健康な肌の角層の水分量は約30%。それ以下になると乾燥肌といい、実際につっぱり感がある場合には10%以下のこともあるようです。十分潤った肌はしっとりときめが整い、表面が滑らかです。
角質細胞内のNMF(NaturalMoisturizing Factor)=天然保湿因子がふっくらと水分を保ち、細胞を取り囲む細胞間脂質内の主成分であるセラミドが水分をしっかり保持。滑らかな皮脂膜が表面を覆っている状態が理想的な肌です
乾燥した肌
乾燥が進んだ肌は角質細胞、細胞間脂質、皮脂膜の形成が崩れ、肌表面がカサカサにめくれ上がったようになることも。よ
く冬場に白く粉を吹いたようになることがありますが、写真はそんな状態です。
乾燥した肌は、角質細胞の水分と細胞間脂質が不足して、干からびた状態。これに皮脂不足が加わると、角質本来の防御機能が低下ひます。適切なケアをしないと、肌内の水分が蒸発し、ますます乾燥するという悪循環に陥ることも
私たちには自ら潤おうとする、肌防御機能が備わっていますが、残念ながらその力は年齢とともに低下します。マイエイジ世代にとって、保湿=肌体力を高めるケアは必須。ケアのポイントは細胞内と細胞間脂質をしっかり保湿し、皮脂分泌を正常に導く化粧品を選ぶこと。そして、乾燥を引き起こす原因を排除することも大切です。
「例えば、熱い湯での洗顔、肌に刺激を与える成分を含んだクレンジングや洗顔料を使ったり、顔を拭くときにタオルでゴシゴシこするなど、意外と洗顔時の刺激で乾燥を引き起こしていることが少なくありません。また、洗顔後のお手入れをさっぱりした化粧水だけで済ますなど、正しいスキンケアをしていないことも大きな原因です」
正しいケア方法を把握して、実践することが、乾燥肌を打破する必勝法!実はひと口に乾燥肌と言っても、さまざまな症状があります。大人の女性にありがちな、乾燥が原因の肌トラブルは大きく4つ。
それぞれの原因と対策をまとめたものを次回ご紹介します。自分に何が必要か、ぜひチェックをしてみてください!
次回は、OurAge世代に多い、乾燥による肌トラブルの原因と具体的な保湿対策をご紹介します。
取材・原文/山村浩子