「ロコモにならない宣言」
いつまでも美しい姿勢で、元気よく歩くために!
転ばぬ先の「美骨レッスン」
あなたは、自分の命が果てるそのときまで、元気でいる自信がありますか? 女性の平均寿命は今、86歳。でも健康寿命と呼ばれる「日常生活に制限のない期間」は、そこからマイナス13歳ともいわれています。
ロコモティブシンドローム(=運動器症候群)になると、要介護や寝たきりの生活に突入するスピードが加速。自分が思い描く人生を最後まで全うするためには、足腰の骨を衰えさせないように、OurAge世代からの生活を見直すことが重要です。
さあ、強くて美しい骨を手に入れるために、レッスン開始!
骨粗しょう症にならないための骨の健康基礎知識Q&A
今まで骨の健康について考えたことがありますか? 意外と知らない骨に関する基礎知識。
知られざる機能や役割をはじめ、骨の構造や骨質低下の原因など、骨粗しょう症にならないために知っておきたい疑問に、今回と次回の2回に分けて細井孝之先生が答えます。
Q1
骨にはどんな機能・役割があるのですか?
骨の働きで、真っ先に浮かぶのは、脳や内臓を保護して、体を支えていること。また、骨格を形成して、筋肉や腱などとともに、体を動かしていることは、私たちが実感できることです。でも、それだけではありません。骨の中にある骨髄は血球(赤血球、白血球、血小板)、つまり血液をつくっています。
また生命維持に重要なカルシウムの貯蓄庫でもあります。血液中のカルシウム量を一定に保つために、食事からの摂取で不足すると、骨からカルシウムを引き出して補給するのです。この働きが骨粗しょう症と大きく関係しています。
●骨のおもな働き
臓器の保護 体を動かす 体を支える カルシウムの貯蓄 造血機能
骨は体を支えて、動かすことだけでなく、血液をつくったり、カルシウムを貯蓄する働きもあります
Q2
骨は何歳になっても生まれ変わるのですか?
骨のベースは子どもから思春期の成長期までに完成し、骨量(骨密度)がピークを迎えるのは20歳頃。その後も、古い骨を破壊し、新しい骨をつくる、骨代謝という作業を繰り返しています。それを担うのが、破骨細胞と骨芽細胞です。
破骨細胞は骨の表面で古い骨を破壊し(専門的には骨吸収と呼ぶ)、その活動が一段落すると、骨芽細胞が骨の表面にコラーゲンを貼りつけ、そこにリン酸カルシウムの結晶を付着して、新しい骨をつくります。これを骨のリモデリング(再構築)と呼び、このバランスがくずれ、骨の破壊が進んでしまうのが骨粗しょう症です。
Q3
アワエイジ世代が気をつけることはありますか?
骨密度は20歳頃にピークを迎え、その後、男性は60歳くらいまで変わりませんが、女性は40代半ばで急激に減少します。それは女性ホルモンの減少と関係しています。女性ホルモンは骨の細胞に働きかけ、骨破壊を抑制し、骨形成を促す働きがあります。
また腸からのカルシウムの吸収を増やし、腎臓でのビタミンD活性化を助ける働きもあります。閉経後はこの女性ホルモンの恩恵が受けられなくなるため、骨の破壊が進んでしまいます。カルシウムをはじめ、タンパク質、ビタミンDを意識して摂取するなど、骨の健康に気を配る必要があります。
次回は、骨の強さや骨質、弱くなることで起こることなどについてのQ&Aです。
撮影/小山志麻(細井先生) イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子