夜型人間のミーナです。脳には質のよい眠りが大事!
わかってはいるんですけどね・・・ 実践できていない~
脳を健やかに育てる「脳トレ生活」
長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をしてきた黒川伊保子さん。
脳を「装置」として見立て、どのような入力に対してどのような演算が行われ、どう出力されるのかを追求してこられました。
そこで、脳の専門家である黒川先生に、脳を健やかに育てるための術を7つ伺いました。
今回は、快適な人生を送るために欠かせない、質のよい睡眠についての脳育て術をご紹介します。
【5】
シンデレラ睡眠を心がける
眠りの質は
人生の質につながる
体(肌・骨・筋肉)が眠っている間に生まれ変わるように、脳も就寝中に更新作業をしています。質のよい眠りは脳によい状況をもたらし、老けにくい体をつくります。眠り方を学び、質を上げることは、快適な人生を送るうえでの必須事項だといえるでしょう。
人が眠っている間、脳は今日の体験を何度も再生して確認し、知恵やセンスへと変化させて神経回路に書き込んでいきます。それゆえに、質のいい眠りをする人としない人とでは、人生の質に差が生じてしまうのです。
脳の中で、記憶と認識を司っている器官を「海馬」といいますが、海馬は起きている間、つねに忙しくしています。なぜなら人は、起きている間中、何かしら認識したり思考したりしているからです。脳の持ち主が眠って初めて、手があいた海馬は神経回路の更新作業に入れるのです。
遅くとも夜の12時
までには寝ていたい
眠りには、「時間依存性」があります。夜の10時から2時の間に眠ると、最も上質の眠りを得ることができ、翌日の情緒が穏やかに安定します。そして肌・骨・筋肉がしなやかになり、記憶力や発想力もよくなります。
理由は、この時間に眠りをつくり出す神経伝達物質である「メラトニン」が、分泌最盛時間を迎えるため。現代生活で夜10時に寝るのは難しいかもしれませんが、脳のためにはせめて12時には寝る“シンデレラ睡眠”を心がけましょう。
最後に「12時に寝ても10時に寝る人に勝つ」ための秘訣をご紹介します。
1 寝る1時間前から、携帯・スマホ・パソコン・テレビ等の電源を切る
電子画面からの視覚刺激は眠ってからも脳に残り、安眠を妨げます。仕事や雑念から離れることも重要です。
2 適度な通気性があり、程よい保温性のある寝具で寝る
よい眠りにあるとき、人は自然に体内深部温度が下がり、手足の温度が上がります。この自然な温度分布を邪魔しない寝具を選ぶことが大切です。素材が空気を含み、通気性と保温性を併せ持った枕やマットを選んでください。
◎Key Point
● 脳は、眠るたびに失敗しにくく成功しやすくなっていく。質のいい眠りをする人とそうでない人では、人生の質に大きな差が生じてしまう
● 最も上質の眠りは、夜の10時から2時の間に。その結果、翌日の情緒が安定し、肌・骨・筋肉がしなやかになり、記憶力や発想力もアップ!
黒川伊保子さん Ihoko Kurokawa
profile
1959年生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。後にコンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年に感性リサーチを設立
次回は、足裏を磨くことで脳に刺激を与えることができるという、脳育ての方法についてご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子