成長期のダイエットや遺伝など、「骨粗しょう症」のリスク要因はさまざま

骨粗しょう症になりやすい人というのはどんな人なのか、整形外科医の伊藤薫子先生にお伺いしました。
「骨粗しょう症になりやすいのは、まず、成長期に過度なダイエットをしていた人が挙げられます。
成長期は骨にカルシウムを貯蓄するための大事な時期なので、この時期にダイエットをすると骨にカルシウムが十分に蓄積されず、将来の骨密度に大きな影響を及ぼすのです。
また、骨粗しょう症は、3割程度遺伝するといわれているので、家族に骨粗しょう症の人がいたり骨折しやすい人がいたら、自分もそのリスクが高いといえます。
そのほか、下記のチェックリストで該当する項目の多い人は、骨粗しょう症になるリスクが高いので要注意です」(伊藤薫子先生)

■「骨粗しょう症」リスクをセルフチェック
以下の項目の中で、ひとつでも当てはまる人は、骨粗しょう症になるリスクが高め。
多く当てはまるほどリスクが高いです。
□ 成長期に過度なダイエットをしたことがある
□ 親が骨粗しょう症、あるいは骨折をしやすい
□ 閉経を迎えた
□ 痩せ型である
□ 若い頃より身長が3cm以上縮んだ
□ 最近、骨折をした
□ 背中や腰に痛みがある
□ 猫背である
□ 運動の習慣がない
□ ちょっとした段差で転びやすくなった
□ 紫外線対策は常に完璧で、日光を浴びないようにしている
□ 魚を食べる習慣がない
□ 喫煙の習慣がある
□ お酒を毎日3杯以上飲む
上記のチェックリストでたくさん当てはまった人は、骨粗しょう症のリスクが高いので、早めに整形外科で骨密度検査を受けましょう。

また、壁に背中をつけて立つことで、自分の“いつの間にか骨折”のリスクをチェックすることができるそう。
「“いつの間にか骨折”とは、特にどこかにぶつけたりした覚えがないにもかかわらず、整形外科でレントゲン検査を受けたら、脊椎圧迫骨折をしていたというように、気づかないうちに骨折をすることです。
これは骨粗しょう症がじわじわ進むことで起こり、60代半ば頃から増えます。
痛みがないことも多いので放置しがちですが、1カ所骨折をすると周辺の骨に負担がかかり、次々と折れてしまって体を支えられなくなり、将来、寝たきりになってしまう場合もあります。
まずは、下のイラストで示した方法で、“いつの間にか骨折”のリスクが高いかどうかをチェックしてみましょう」
※脊椎とは、一般的に言う背骨のこと。
記事が続きます
■「いつの間にか骨折」のセルフチェック
壁に背中をつけて立ったとき、どんな状態になるかを確認してみましょう。
●正常な場合

壁に背中をつけて立ったとき、上のイラストのようになるのが正しい状態。
この状態になるなら、「いつの間にか骨折」のリスクはまだ低いと考えられます。
●「いつの間にか骨折」のリスクが高い状態 その1

上のイラストのように、首が前に出て頭が壁につかない、肩が壁につかない、腰と壁の間に隙間ができない、膝が伸びないという状態なら、脊椎(背骨)がもろくなっている可能性があり、「いつの間にか骨折」のリスクが高いと考えられます。
また、以下の方法でもチェックしてみましょう。
記事が続きます
●「いつの間にか骨折」のリスクが高い状態 その2

「いつの間にか骨折」でつぶれやすいのが、胸椎の下部と腰椎の上部。
家族など、ほかの人に後ろから、肋骨の下あたりに指先を当ててもらいましょう。
肋骨と骨盤との間に隙間がなくなり、指が入らない場合は、骨がつぶれている可能性があり、「いつの間にか骨折」のリスクが高いと考えられます。
【終わりに】
上記のチェックリストで、骨粗しょう症や、「いつの間にか骨折」のリスクが高いという結果になった人は、今すぐ対策を始めるべき!
「整形外科での治療とともに、この連載の第23回から今までご紹介したような“骨活”をすることで、骨粗しょう症や、“いつの間にか骨折”を未然に防ぐことはできるので、早めに始めましょう」
【教えていただいた方】

いとう・かおるこ●「女性のための整形外科 かおるこHappyクリニック」院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京女子医科大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部整形外科学教室へ入局。関連病院勤務、アメリカ留学を経て、慶應義塾大学病院骨粗しょう症外来を担当。2021年7月、東京・帝国ホテル内に「女性のための整形外科 かおるこHappyクリニック」を開院。「いくつになっても背筋を伸ばしてハイヒール」をモットーに、女性一人一人の骨と関節の悩みに寄り添う診療に定評がある。院長が伴走するオンライン講座「4カ月の骨活プログラム」も全国から受講されている。
イラスト/きくちりえ(Softdesign) 写真/Shutterstock 取材・文/和田美穂
■あわせて読みたい■
- ・骨粗しょう症予防には、骨に負荷をかけて骨芽細胞を活性化させる必要あり。「骨を強くする簡単エクササイズ」
- ・骨粗しょう症を防ぐには、カルシウムと同じくらいタンパク質が重要だった!
- ・「骨粗しょう症にならない生活習慣:食事療法」


