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専門医が伝授! 更年期にいびきが増える原因と対策。1週間で効果が出るセルフケア

いびきは睡眠の質が悪くなる大きな要因です。特に女性は更年期以降、いびきの悩みが増える傾向に。いびきの原因と1週間で効果の出る解消法を、専門医の白濱龍太郎さんに聞きました。

朝までぐっすりメソッド②いびきを解消する簡単セルフケア

いびきというと太った男性のイメージですが、更年期世代からは女性も増えてきます。
改善には睡眠専門医が考案した解消法が役に立ちます。

 

40歳ごろから女性でも増えてくる

「いびきは、30代~40代前半までは圧倒的に男性に多いのですが、女性も更年期世代から増えてきます。軽度だと放置しがちですが、睡眠の質が悪くなる大きな要因。
睡眠時は舌の筋肉が緩み、気道が狭くなると、いびきをかきやすくなります。予防や改善に役立つのは、寝姿勢を変えたり、舌の筋肉を鍛えて気道をふさがないようにすることです。」(白濱龍太郎先生)

 

こんな人はいびき常習者かも!?

一人で寝ている人は、自分がいびきをかいているかわからないもの。
いびきは骨格、体格、体質が関係しています。特にアジア人は骨格的にあごや鼻が小さいのでいびきをかきやすい傾向です。舌や扁桃腺(へんとうせん)が大きい人は気道が狭くなりがち。子どもの頃よく扁桃腺が腫れた、アデノイド増殖症(鼻の奥のリンパ組織が肥大する)だったという人は要注意。口呼吸もいびきの大きな原因です。

 

下記に心当たりがある人はいびき常習者かも!

こんな症状があったら要注意!

舌が大きい・扁桃腺が大きい・子どもの頃よく扁桃腺が腫れた、アデノイド増殖症だった・アレルギー性鼻炎、花粉症である・口呼吸の癖がある・寝酒をよく飲む・夜中に何度も目が覚める・目覚めが悪い・朝起きると口が乾いている
どれもいびきをかきやすくする要因です。ひとつでも思い当たることがあったら、かいている可能性大。

 

痩せた女性でも更年期世代に急増

睡眠時は舌の筋肉が緩み、下に垂れて、上気道を狭くします。これを舌根沈下(ぜっこんちんか)といいます。いびきは、こうして気道が狭くなっているところに、呼吸に伴って空気が無理やり通り抜けようとするときの音です。窓を小さく開けておくと、風がヒューヒュー音を立てるのと同じ原理。特に肥満の人に多いのですが、誰にでも起こり得ます。

 

また女性ホルモンが舌の筋肉の緊張にかかわっているため、女性ホルモンが減少する更年期頃から、女性もいびきをかくことが増えてきます。

 

いびきをかかない場合/気道が確保されていると、空気がスムーズに通るのでいびきはかきません
気道が確保されていると、空気がスムーズに通るのでいびきはかきません

 

 

いびきをかく場合/睡眠中は筋肉が緩み、重力で舌の付け根が喉元に落ち込みます。また、睡眠中は副交感神経が優位になるため、上気道の粘膜が厚くなることも、気道が狭くなる原因です
睡眠中は筋肉が緩み、重力で舌の付け根が喉元に落ち込みます。また、睡眠中は副交感神経が優位になるため、上気道の粘膜が厚くなることも、気道が狭くなる原因です

 

いびきを放置すると
突然死のリスクがアップ!

いびきは気道が十分に確保されていないことで起こります。これでは酸素を十分に吸えないので、血中酸素濃度が低下します。この酸欠を補おうと、心臓は脈を早くして対応します。これが慢性化すると、血管の負担となり、高血圧や動脈硬化などの病気につながります。

 

また、睡眠時無呼吸症候群になると、深い眠りであるノンレム睡眠が確保されずに疲労が蓄積され、慢性疲労やうつ病になることもあります。

いびきのリスク

睡眠不足や酸欠状態になるため、肌あれや薄毛などの美容的な問題をはじめ、高血圧、動脈硬化、糖尿病、心臓病、うつのリスクが高まります。

4つのいびき対策

ここで紹介する方法を1週間行うことで、高い改善効果が確認されています。

 

横向き寝(シムス体位)
寝る角度を変えて気道を確保する

あお向けで寝ると舌根沈下を起こしやすくなります。この対策には、横向き寝の実践が有効。
「シムス体位は妊娠中期以降のお腹が大きくなった妊婦さんにすすめられている寝姿勢です。体の右側にある下大静脈を圧迫しないよう左側を下にして横向きになり、上の右脚の膝を曲げ、下の左脚は真っすぐ伸ばします。抱き枕があると安定しやすいのですが、なければクッションを両膝の間に挟み込むといいでしょう」。

これだけでいびきが軽減したという報告が多数寄せられています。

体の左側を下に横向きに寝て、抱き枕を両腕で抱え、右脚は曲げ、左脚は伸ばして安定させます。うつ伏せにはならないように。
体の左側を下に横向きに寝て、抱き枕を両腕で抱え、右脚は曲げ、左脚は伸ばして安定させます。うつ伏せにはならないように。
(注)心臓疾患のある人は、シムス体位が心臓の負担になる場合があります。行う前に主治医に相談を
抱き枕がない場合は、夏掛けなどを丸めて使用したり、クッションを両膝の間に挟んでも、横向き姿勢をキープしやすくなります。
抱き枕がない場合は、夏掛けなどを丸めて使用したり、クッションを両膝の間に挟んでも、横向き姿勢をキープしやすくなります。

 

生活習慣の改善
よい睡眠を得る生活の実践

肥満の人のほうが圧倒的にいびきをかきやすいので、太っている人はダイエットを。お酒の飲みすぎはリラックスを通り越して、舌の筋肉を弛緩させるので、いびきの大きな原因に。喫煙もいびきを引き起こすという研究結果があります。
健康維持&増進に欠かせない、栄養バランスのよい食事と規則正しい生活、適度な運動はいびき防止にも効果的。寝る前に、呼吸を意識したヨガなどで、体を気持ちよくストレッチするのもいいそう。いびき防止にも生活改善は必須です。

 

舌の筋トレ
舌が喉の奥に落ちるのを防止

体の筋肉が、運動せずに使わないでいると弱るのと同じで、舌を支える筋肉も老化します。
「すると睡眠時に、舌が喉の奥に落ちやすくなります。それを防止するためには、舌の筋肉を鍛えるエクササイズが役に立ちます」。
下の①~⑤の一連の動きを毎日行うことで舌は強くなります。

①舌の前後運動

①舌の前後運動

口を開け、舌を前に突き出して5秒、ひっこめて5秒キープします。これを3セット。
ひっこめるときは舌の先端を上の歯の裏につけて

②舌の上下運動

②舌の上下運動

口を開け、舌を上あごに押しつけて10秒、下あごにつけて10秒キープ。
これを3セット

③舌の回転運動

③舌の回転運動

口を閉じて、舌で歯茎の外側をなぞるように、ゆっくりと回転させます。
右回りと左回り各3回

④舌とあごの運動

④舌とあごの運動

口を開け「あーいーうーえーおー」と言いながら、口の筋肉を大きく動かします。
これを3回

⑤頰の運動

⑤頰の運動

口を閉じ、頰を大きくふくらませて5秒、すぼめて5秒キープ。
これを3セット

このほかに、お気に入りの歌を、Aメロは「ららら」、Bメロは「れれれ」、サビは「ろろろ」というように、自分なりのルールを決めて、「ら」「れ」「ろ」だけで歌うのもおすすめです。

 

CPAP療法
保険治療でできる対処法

いびきが重症化すると、睡眠時に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群になることがあります。こうなるととても危険なので、医療機関を受診することをおすすめします。

改善方法としては、健康保険適用になっているCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)を行います。これは機械で圧力をかけた空気を鼻から送り込み、気道を広げて、無呼吸の状態を回避するものです。最近では、診察室のパソコンに連携され、データがすぐに確認できるようになっています。

 

 

【教えていただいた方】

白濱龍太郎
白濱龍太郎さん
睡眠・呼吸器内科医
公式サイトを見る

在宅医療の専門クリニック「RESM新横浜」理事長。日本睡眠学会認定医療機関として高い専門医療を提供


イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子

 

 

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