<お悩みその18>
ドキドキワクワクすることが最近見つかりません。このまま老けていくことを考えると何かしなくてはと思いますが、何をすればいいのかもわかりません。(56歳・パート・アルバイト・東京都)
<お答え>
私はたまたま50歳過ぎてからハマった日本のバンドでちょっとワクワクしていた時期があったんですが、実はコロナ禍になるちょっと前から、ご相談くださったこの方とまったく同じ状況になってました。だからお気持ち、すごくよくわかります。
若い人は、何をやっても面白いと思うんですよ。幼稚園の子って虫を見ても電車を見ても面白いじゃないですか。中学生とか高校生の頃は、何か新しいものに出会えばワクワクするし、恋愛対象を見つけてドキドキしたり、アイドルにハマったりもする。
だけどやっぱり、歳をとるということは経験を重ねるということですからね。経験を重ねていくというのはいいことでもあるけど、何を見ても「あ、これ知ってる」みたいに思っちゃうじゃないですか。ファッションもそうだと思うんですよ。今はまた90年代風が流行っていますけど、大人はもう経験してしまってるから、パッと見て「ああ、これ持ってるわ」ってなっちゃう。
だから、ワクワクドキドキが減ったというのはあなただけじゃない。みんなそうなんです。この年になると恋愛のチャンスも少なくなってくるし、本当にワクワクすること自体がないですよね。特にこの方は東京在住でしょ? コロナで厳しい自粛生活だったから行動がすごく狭まって、家にいることが増えて、テレビ番組やNetflixでさえコロナの影響であんまり更新されない。そうなると、新しいことに出会う機会も当然減っちゃうわけで。
きっとあなたは「ワクワクできない」ことに焦ってると思うんです。でも、焦らなくていいんです。みんなそうだから。年齢のせいだけじゃなくて、今は実際、そういう時代だから。せいぜいワクチンにドキドキするぐらいしかない(笑)。
だから私の場合はね、ワクワクの対象をすごく小さくしちゃったんです。例えば今だったら、ヒヤシンスの球根の成長が楽しみ。今朝見たら、ヒヤシンスの葉っぱがグイ~ン!ってすごく伸びててうれしかったの。いつもよりちょっと高い高級中国茶を買って、ちょっと丁寧に淹れてみるとかね。まあ老後の楽しみみたいなものですけど、老後の練習だと思って。
それとも、例えば新発売のアロマとか香水とかを買ってみる。マスクで口紅が見えづらいから、今まで口紅を買っていたぶん、違う方向に投資してみるんです。新色のネイル買っちゃうとか。そんなふうに、今まで経験したことがない“未開発部門”にお金を使ってみると、気持ちがアガります。すごくブワっとアガるんじゃなくて、ちょっとアガる。それが、老けないコツです。
もしかしたら今のこの状況は、また雨がやんで雲間が割れてピカ~っと太陽が差し込むかもしれないし、まだとうぶん曇りかもしれないけれど、今はとにかくそういう時なので、小さな楽しみの積み重ねで乗り切りましょう。全部シャットダウンしちゃうと本当に老け込んでしまうから、小さなことで、「ちょっと心が動く癖」をつけておく。
これまでは時代も自分も、外に気持ちが向いていたと思うんですよ。キラキラしたものを探して。それで引き続き、今も何か大きいワクワクドキドキを求めてるんだと思うの。でももう、でっかいワクワクは狙わない! 小さい「ワク」ぐらいでいいから、それを身のまわりで見つけていきましょう。
イラスト/松元まり子
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