パンダのように目のまわりを覆う眼輪筋。
眼窩脂肪のストッパー的役割を果たしていた!
OurAge世代が気になるのが目の下のたるみ。「これは、目のまわりをパンダのように覆っている眼輪筋の筋力低下から起こります」とNORIKOさん。
「図のように、人間の目は、骨と眼球の間に、眼窩脂肪という眼球を守る脂肪に覆われています。そのまわりにあるのが、眼輪筋。加齢や重力とともにおでこの骨・前頭骨が下がると、眼輪筋は圧迫されます。そして眼球自体も、加齢とともに下がってきます。
このときに、目の中で何が起こるかというと、眼球を覆っている眼窩脂肪がずる~っと落っこちてくるんですね。眼輪筋の下側が衰えていると、脂肪をストッパーのように留めることができず、目の下にたまってきてしまう。これがたるみの正体です」
たるみと眼窩脂肪の関係は、簡単な方法でチェックできるとか。
「目の下に軽く指を押し当ててみてください。本当に弱い力でいいですよ。そうすると指を当てた部分がへこみ、代わりに、まぶたが膨らんできませんか? これは下へ落ちていた眼窩脂肪が上へと移動した証拠。眼輪筋の下を鍛えていれば、この眼窩脂肪は下へ落ちにくくなります」
たるみは「手術をして取る」という方法も、最近はよく聞きますが…。
「そうですね。50代、そして60代になると、たるみ除去の手術を検討される方は多いです。ただし、たるみ除去の手術の中には、この眼窩脂肪を取り除くものがあります。目を守るために必要な脂肪を取り除くと、今度は逆にまぶたが落ちくぼんできてしまうんですよね。また、手術をしても前頭骨が落ちてきたり眼輪筋が弱いままだと、たるみは再び現れます。
手術をする・しないは個人の判断ですが、まずはその前に1~2カ月、眼輪筋のトレーニングをして考えてみても遅くないかもしれませんね」
くま・くすみは眼輪筋が
「お疲れ」のサインを出している!
くまやくすみも、眼輪筋と強い関係が。
「茶色いくまは色素沈着、青黒いくまやくすみは血流の滞りが、皮膚の上から透けて見えてしまっている状態です。色素沈着の茶色いくまは、目のまわりをこするなど皮膚の刺激から引き起こされますが、青黒いくまやくすみは、本来ならあまり目立たないはずのもの。更年期に入るとエストロゲンの低下により、筋肉のハリやツヤが失われていきますが、眼輪筋も例外ではありません。
眼輪筋が薄くなったことで、青黒いくまやくすみが、一気に目立つようになるのが、OurAge世代ともいえます。分厚くてハリのある眼輪筋を作れば、これこそ脱・ドンヨリ顔。血行を促してくまやくすみを取り、目のまわりの筋力を分厚く&強くするエクササイズを、一緒にやっていきましょう!」
下まつ毛を微細に動かすエクササイズ。
頰の肉は動かさないように気をつけて
<まずは基本のおでこ上げエクササイズ>
前頭骨の下垂も、眼輪筋を圧迫し、筋力の低下につながる。今回も基本のおでこ上げエクササイズからスタート。片手を後頭部の下に添え、もう片方の手のひらはおでこに当てる。両手で頭をサンドイッチのように挟み、優しく頭頂部へ向かって引き上げる。10秒カウント。正面を向いて、あごを引き、肩の力は落として。
<眼輪筋エクササイズ>
遠くを見るようにして目を細める。そのまま、下まつ毛の根元を上下に動かす。かなり細かい動きだが、ゆっくりやってみると目の下側の筋肉が動いているのがわかるはず。上まぶた、おでこは動かさないで。
これはNG!
頰の上の筋肉を使って、下まつ毛を動かすと眼輪筋ではない部位を動かすことになるので、要注意。
やりにくい場合は…
頰の筋肉が動きやすい人は、頰骨の下に軽く指を添えて。下まつ毛に意識を集中しやすくなる。
「微細な動きで少し難しいかもしれませんが、最初はゆっくりで大丈夫。普段は使わない筋肉を使い、その動かし方を脳に覚えさせ、鍛えていくのは、体のピラティスも顔のピラティスも同じ。毎日繰り返し動かすことで、コツをつかめるようになってくると思います」
【教えていただいた方】
スペイン・バルセロナ在住。骨格矯正メソッド・ヤムナボディローリングとピラティスが専門。モットーは、アラフィフから健康でいるための体作り。Instagram、YouTubeを中心に、大人のボディ&フェイスを快適に整えるエクササイズを発信している。書籍『更年期世代の不調を取り去る 大人ピラティス』(KADOKAWA)も好評発売中。
指導・モデル/NORIKO 取材・文/石井絵里